わが子を自己肯定感の高い子に育てるために、どんなことができるのでしょうか。
心理カウンセラーの中島輝先生は「日常的な言葉かけが一番大切」と言います。また、中島先生考案の5つのレッスンも紹介します。
親子ともに自己肯定感を上げて、多少の“雨や風”ではびくともしない強いメンタルを育てましょう。
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子どもの自己肯定感を育てるには?まずは親自身がチェック!あなたの自己肯定感は揺らいでいませんか?
「子どもを叱っちゃダメ」「ほめて育てなくちゃ!」が危険な理由
子どもの頃に自己肯定感が十分に育っていれば、そのあとの人生は何が起きても大丈夫です。世界のどんな場所に行ったとしても、自分らしさを失うことなく笑顔で生きていけるに違いありません。
そのためには、親や身近な大人が自己肯定感の大切さを理解し、自分自身の自己肯定感を高めていく必要があります。
自己肯定感が高い人ほど、肯定的な言葉を投げかけることができますし、その子のありのままを受け止めることができるからです。
大切なことは、その子の肯定的な側面を見ることです。
よく「子どもはほめなくちゃいけないんですよね?」とか、「叱ると自己肯定感が下がるって聞きました」と言われることがあります。それは一見正しいように思えるのですが、一歩間違うとマイナスの影響が出てしまいます。
自己肯定感が高まるほめ方
やみくもにほめるのではなく、その子の肯定的な側面を伝えるということを意識してください。
「100点とったの?すごいね!」とほめてしまうと、100点でなければ意味がないことになります。次に80点とったとき、その子の自己肯定感が下がってしまうのです。
「がんばって勉強したの、ママは見てたよ。だからいい結果につながったんだね」と、努力している姿をほめるようにしてみてください。次に80点とっても「自分はがんばった」と思えれば卑屈になりませんし、「がんばらなかった」と自覚すれば次の努力へとつながります。
自己肯定感が下がる叱り方
幼い子どもに社会的ルールを教えたり、危険なことをしないよう伝えるのは大人の義務です。ときには親が、厳しい表情で叱ることも必要でしょう。
問題は、親が自分の怒りの感情をコントロールできなくなることです。激しく怒鳴ったり、たたいたり、ネチネチ言い続けたり、その子の人格を否定するようなことを口にしたり……。
そのような叱り方が自己肯定感を下げるのであって、叱ることそのものが悪いわけではありません。自己肯定感の高い子ほど、自分の間違いを受け止め「次は気をつけよう」と思えるものです。
親子で自己肯定感を高める5つのレッスン
自己肯定感を高めるために、ぜひやってほしい5つのレッスンをご紹介します。できそうなところから実践してみてください。
1 朝の「ヤッター!」ポーズ
明日の朝からすぐやってほしいのが、毎朝の「ヤッター!」です。
カーテンを開き、窓を開け、両手を握って上に伸ばして「ヤッター!」と言うのです。たったこれだけですが、1日が始まることに前向きな気持ちになれるのです。
実はこのポーズをすることで、「勇気のホルモン」と呼ばれるテストステロンの分泌が増える効果があります。小さな子どもでも簡単にできますし、ママやパパと笑顔で朝が迎えられることもやる気を生み出すはずです。毎朝、親子でやってみてください。
2 つらいときのセルフハグ
イヤなことがあったとき、ネガティブな気持ちになったとき、包み込むように自分を抱きしめてあげましょう。
右手を左肩に、左手を右肩に添え、ゆっくり深呼吸しながら8秒間抱きしめるのです。「がんばっているね」「大丈夫だよ」と自分にささやきかけながらやると効果的です。
3 リフレーミングで否定語を肯定語に言い換え!
同じものでも、どんな額縁(フレーム)に入れるかで印象が変わります。それは子どもに対しても同じです。「うるさい子」というフレームに入れればその子は否定的にとらえられますが、「今日も元気いっぱい」というフレームに入れれば長所になります。
日頃から使う言葉を肯定的にすることで、言われた子はもちろん、言っている親自身の気持ちも前向きなっていきます。
●リフレーミングの例●
4 「今日のよかったこと」を3つ探す
1日の終わりに、その日のよかった出来事を3つ思い浮かべて書いてみましょう。特別なことでなくてかまいません。「朝食の目玉焼きがうまく焼けた」「夕日がきれい」など、なんでもいいのです。これを続けることで、脳がいいことを見つける習慣がつき、前向きな気持ちなります。
たとえば夕飯後に、お子さんに「今日のよかったことは?」と聞いてみて。ママやパパの「よかったこと」ももちろん子どもに話しましょう。
5 “もしもカード”をつくる
“もしもカード”とは、ネガティブな感情に支配されそうになったときに作ります。
あらかじめ恐れていることを紙に書きだし、実際にそれが起きたらどうするかを決めておくのです。不思議と気持ちが落ち着きます。
たとえば、「運動会で転んだらどうしよう」と不安になっていたら
もしも かけっこで転んでしまったら わたしは 急いで立ち上がってまた走りますと書くといいですね。
ママが仕事に関して、「明日のプレゼンで失敗しそう」と不安に思っているなら、
もしも 明日のプレゼンが通らなくても わたしは がんばったごほうびにケーキを買いますというように、失敗しても元気がでるようなごほうびを用意するのもいいですね。
がまんしすぎないで! 自分の時間と環境を大切に
環境を整えることも実はとても大切です。
お子さんのトイレトレーニングで苦労している人に、「トイレをテーマパークみたいにしちゃいましょう」と伝えたことがあります。トイレにその子の好きなキャラクターをたくさんおいて、楽しい空間にしてもらったのです。
すると「あっという間に自分でトイレに行くようになりました」とママは驚いていました。
人は自分が落ち着く場所、大好きな場所にいると自己肯定感が上がるのです。心も穏やかになりますし、前向きな挑戦ができるのです。
ママやパパにとって、そんな場所はどこでしょう。もちろん家族といっしょにすごす時間が一番好き、というのも事実だと思います。でも、子どもが生まれる前に好きだったことも、あなたにとって大切な時間です。
カフェでゆっくり本を読む。ジムで汗を流す。友だちとランチを楽しむ。美術館に行く。英会話を習う。
そんな時間を持てていますか? 夫や親、親しい友だちと助け合って、自分らしい時間を少しでも保てるよう工夫しましょう。
子育て期は人生の中でもっとも忙しく、責任も大きい年齢です。だからこそ自分のことも大切にしてください。毎日を楽しんでください。
親が楽しそうに生きる姿はきっと、子どもの人生も豊かにしてくれることでしょう。
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前向きにならなきゃダメって疲れない?“自己肯定感ブーム”に警鐘!ホンモノの自己肯定感とは?●PROFILE●中島 輝(なかしま・てる)心理カウンセラーで「自己肯定感」の第一人者。資格認定団体「トリエ」代表。心理学・脳科学・NLP(セラピーやカウンセリングの現場から生まれた実践的心理学)などの手法を用いて、Jリーガーや上場企業の経営者など15,000名を超えるクライアントにカウンセリングを行う。現在は、自己肯定感を高めれば人生・仕事・恋愛・健康・子育てが好転する「ナチュラル心理学」を提唱し、精力的に講座を開催している。著書に『自己肯定感の教科書』『自己肯定感が高まる うつ感情のトリセツ』『書くだけで人生が変わる自己肯定感ノート』『自信スイッチ 10歳からはじめるポジティブ習慣39』など多数。取材・文/神 素子