妊娠中、「食べすぎてしまう」という声とは反対に、「量が食べられない」と悩む妊婦さんも多いもの。特におなかが大きくなってくると、胃が圧迫されて食べられなくなってしまうこともあるよう。少量しか食べられなくても、必要な栄養素を効率よくとる方法を栄養のプロに聞きました。実際の妊婦さんの食生活診断&アドバイスも参考にしてみて!
少量でも高栄養になる工夫を!飲み物から補給するのもおすすめ
「なるべく高カロリーで、高栄養な食品(=良質なたんぱく質)をとるように心がけて。たんぱく質は、必要な栄養素を効率よくとれるのがメリットです」と、多くの妊婦さんの栄養診断をしてきた細川モモさん。たんぱく質飲料をこまめに飲むのもおすすめです。「飲むヨーグルト、豆乳、牛乳、ココア、アーモンドミルクなど、最近は飲んで栄養補給できる商品が充実しているので、1日に2杯、3杯を飽きないようにいろいろ飲むのはどうでしょうか」また、鉄やカルシウム、葉酸を強化した妊娠期・授乳期の「料理用粉ミルク」もあるので、シチューなどに加えるのも手ですね。
良質なたんぱく質がとれる食材&飲み物
■卵・肉・魚を食べる
卵は食物繊維とビタミンC以外の栄養素をすべて含む優秀食品で、手軽に食べられるのがメリット。また、赤身の肉と魚は、鉄を効率よく補給できます。なるべく毎日食べて!
■飲み物でたんぱく質をとる
豆乳やココアなどは、できるだけ甘くないものを。甘みがほしければ、無糖を購入して、オリゴ糖やはちみつで甘みを足すのが◎。飲むヨーグルトは、鉄入りのものを選んでもいいでしょう。
【注】はちみつアレルギーの場合を除き、妊婦さんがはちみつを摂取するのは問題ありませんが、
0歳児の摂取は「乳児ボツリヌス症」を発症し重篤な状態を招く可能性があります。0歳台の上のお子さんがいる妊婦さんは、上記のはちみつ入りレシピをお子さんに取り分けることはしないでください。
プロが食生活診断&アドバイス・妊娠10カ月産休中の場合
【Yさんデータ】
・妊娠10カ月
・産休中
・身長160cm
・体重妊娠前から+4.5kg
「量を多く食べられず、質を心がけて食事をしているけれど、体重増加につながらない! 妊娠7カ月から『赤ちゃんが細身』といわれています」(Yさん)
朝食8:00
・ロールパン(2個)
・コーヒー
・レーズン入りヨーグルト
アドバイス
全体的にカロリーと栄養素が不足。卵やチーズなどのたんぱく質を加え、トマトやブロッコリーなど、ゆでるだけ、切るだけの野菜をプラスしたいですね。
昼食13:00
・ごはん
・納豆(1パック)
・野菜のおひたしやおかず(残り物)
アドバイス納豆にしらす干しや卵をトッピングしましょう。食事の量はあまりかわりませんが、卵1つで約80kcalプラス。たんぱく質やビタミン、鉄を補えます。
間食
・あたたかい飲み物(豆乳など)
・フルーツや和菓子
夕食19:00
・肉か魚のおかず
・豆腐
・汁物
・野菜の小鉢
アドバイス
エネルギーが大幅に不足するので、主食は抜かないで! 主菜はぶりやさばなど、脂ののった魚を選んで効率的にカロリーを補い、DHA・EPAも確保しましょう。
まとめ
妊娠後期は妊娠前にくらべて+450kcal(軽く1食分)多く食べる必要があります。とくに、鉄が赤ちゃんに移行する時期なので、赤身の魚や牛肉、納豆や卵をとり入れ、飲み物は鉄の吸収を阻害しないハーブティーや麦茶を選ぶとベター。