この記事は、突発性発疹のときに起こりやすい赤ちゃんの不機嫌についてまとめました。「高熱でも比較的、機嫌がいい」といわれる突発性発疹ですが、実際にはグズグズするなど、機嫌が悪くなる赤ちゃんもいます。
突発性発疹とはどんな病気?
突発性発疹は1才前後の赤ちゃんに多い感染症です。1年を通して見られ、流行するシーズンは特にありません。
38~40度の熱が出たあと、熱が下がったところで、おなかや背中を中心に発疹が出るのが典型的な症状。初めての高熱が突発性発疹、という赤ちゃんも多いでしょう。
原因
原因となるウイルスは2種類あります。ヒトヘルペスウイルス6型と7型で、異なったウイルスであるため、2度、突発性発疹にかかる赤ちゃんもいます。
また、突発性発疹のウイルスは一度感染すると一生、体内にひそみます。そのため、赤ちゃんの突発性発疹は周囲の大人を介してうつる、と考えられています。
診断
正確な診断を下すためには、血液検査を行い、突発性発疹のウイルスに対する抗体があるかどうかを調べなければなりません。しかし実際には、発熱後に発疹が出たのを確認して、「突発性発疹」と診断されることがほとんどです。
熱しか症状がない段階では、突発性発疹か他の病気か、判断することは困難です。「熱が下がったころに発疹が出てきたら、突発性発疹です。しばらく様子を見てください」などと医師からは言われるかもしれません。
治療
基本的に薬は用いず、赤ちゃん自身の免疫力で自然に治るのを待ちます。熱が高く、赤ちゃんがつらそうなら、解熱剤が処方されることもあります。
ちなみに、突発性発疹はウイルスによって発症する病気です。その場合、細菌の増殖を抑える抗菌薬(抗生物質)は効果がありません。
突発性発疹の症状と経過 不機嫌期はいつ?
突発性発疹の一般的な経過は次のようなものです。
1.発症
突然、高熱が出ることで、発症に気づくことが多い病気です。咳など他の症状が伴うことはあまりありません。急に38度を超える熱が出るので、驚くママやパパも多いでしょう。
2.3~4日間の発熱
熱は3~4日間続きます。一般的に熱は高くなることが多く、40度に達することもあります。
熱が高くなるときに熱性けいれんを起こす赤ちゃんもいるので、よく様子を見守りましょう。
3.解熱後の発疹
熱が下がると、その日か翌日くらいに、おなかや背中を中心に赤いポツポツした発疹が出ます。発疹は次第に濃くなり、顔や手など全身に広がっていきます。
発疹は出てから2~3日経つと徐々に薄くなり、3~4日で自然に消えてしまいます。あとは残りません。
以上が典型的な経過ですが、症状の出方は赤ちゃんによってさまざま。症状が熱だけ、あるいは発疹だけというパターンもあります。なかには、ウイルスに感染しても症状がまったく出ない赤ちゃんもいます。
不機嫌になりやすいのはいつ? 発疹の痒みはある?
「高熱のわりに赤ちゃんの機嫌はいい」といわれる突発性発疹。しかし、これは個人差が大きく、それほどつらそうに見えない赤ちゃんもいる一方で、高熱のためにグッタリする赤ちゃんもいます。
熱と同時に、食欲がなくなったり便がゆるくなったりする赤ちゃんもいます。その場合、赤ちゃんはつらそうな様子になることが多いでしょう。
しかし、突発性発疹で赤ちゃんが最も不機嫌になりやすい時期は、熱が下がった後です。発疹が出たころに、だるそうな様子になったり、ぐずりがちになったりする赤ちゃんが多くいます。
どうしてその時期に機嫌が悪くなるのか、理由ははっきりとはわかっていません。ただ、発疹のかゆみが原因ではない、と考えられます。突発性発疹の発疹に、かゆみや痛みはないからです。
「高熱による疲れのせい?」と思いがちですが、解熱後に不機嫌になるのは、突発性発疹に特徴的な症状です。ですから、不機嫌になることもウイルスによって引き起こされている症状の1つである可能性があります。
突発性発疹による不機嫌はいつまで続くの?
突発性発疹は発症から7~8日で治る病気です。発疹が治まったころには、機嫌もよくなることがほとんどです。
不機嫌な状態が続く場合は、突発性発疹以外の原因があることも考えられます。食欲や便の形状など、全身の状態を観察し、気になることがあれば病院を受診しましょう。
突発性発疹のときのホームケア
赤ちゃんが少しでも快適に過ごせるように、必要なホームケアを行いましょう。
発熱中のホームケア
水分補給熱がある間は水分をこまめに補給しましょう。赤ちゃんが飲みたがるものなら何でもOK。母乳やミルク、白湯、麦茶、番茶、野菜スープ、ベビー用のイオン飲料などを飲ませます。
消化のいい食事食欲がある場合は、消化の良いものを食べさせます。おかゆやバナナ、りんごなどがいいでしょう。食欲がないなら、無理に食べさせなくても大丈夫。水分補給ができていれば、2日間ほど食事が取れなくても問題はありません。
衣類の調節熱が上がるときは寒気がするので、衣類や布団を1枚重ねるといいでしょう。逆に熱が上がり切ったら、衣類を1枚減らすなどして着せすぎないように気をつけます。汗をかいていたら、こまめに着替えます。
体を清潔にする高熱が出ているときは、温かいお湯でしぼったタオルで体を優しくふきます。体力を消耗するので、入浴やシャワーはひかえたほうがいいでしょう。
便がゆるい場合は、おしりのかぶれを予防することも大切。座浴などでお尻を洗うといいでしょう。
発疹がある時期のホームケア
赤ちゃんは体力を消耗しているので、2~3日は安静にして過ごします。なお、発疹は自然に消えていくので、特別なケアは必要ありません。
安静といっても、ずっと寝ている必要はないので、絵本の読み聞かせをしたり、好きなDVDを見たりなど、赤ちゃんが喜びそうなことを試してみてもいいでしょう。
解熱後の不機嫌への対処法
赤ちゃんがグズグズする場合は、抱っこしたりあやしたりしながら様子を見守ります。解熱後の不機嫌は突発性発疹の症状の一環と考えられるので、一時期のことと割り切って、おおらかに対処しましょう。
突発性発疹は、発疹が出ていても熱が下がっていれば、隔離の必要はない病気です。ですから抱っこして、赤ちゃんが疲れない程度に、外の空気を吸わせてあげてもいいでしょう。
また、高熱でお風呂に入れていなかったはずなので、あせもやおむつかぶれなどの皮膚トラブルがないかもよく確認しましょう。
皮膚トラブルがあれば、それが不機嫌の一因になっているかもしれません。病院を受診するなど適切な対処をとりましょう。
痒みがないはずの突発性発疹の発疹。痒そうに見えるときはどうしたらいい?
突発性発疹の発疹には、かゆみや痛みはありません。もし赤ちゃんがかゆがっているなら、別の皮膚トラブルなどの可能性があります。病院を受診して、原因をつきとめましょう。
また原因はなんであれ、肌にトラブルがあるときは、清潔を保って保湿することがホームケアの基本となります。シャワーなどで汗や汚れを落とし、ベビー用のクリームやワセリンで保湿しましょう。