この記事は家の中にいてヒトを刺すダニについてまとめたものです。どんなにこまめに掃除をしていても、ダニを1匹残らず駆除することはできないといわれています。ダニはやわらかい皮膚を刺すことが多いため、赤ちゃんは格好の標的に。ダニに刺されたときの見分け方や刺される原因、対策などを知って、赤ちゃんをダニから守ってあげましょう。
赤ちゃんがダニに刺されたときの症状や特徴は?
刺された痕からはわからないことが多い
蚊に刺された部分はプクッとふくれますが、ふくれずに少し赤くなってかゆいときなどは、何に刺されたのかわからないことがありますね。ダニの場合も、刺された痕を見て、ダニに刺されたのかどうか判断するのはなかなかむずかしいのが実状です。
かゆみが強く、長引く
ダニに刺された場合の症状としては、一般的には、赤いポツポツが出る、かゆみがとても強い、かゆみが長引く、外に出かけていなくても毎日増えてくるなどの特徴が挙げられます。
ダニに刺されるとかゆみが強いため、赤ちゃんは不機嫌になることも。
体のやわらかい部分が刺されやすい
大人はわき腹や二の腕、おなか、太ももの内側などを刺されることが多いですが、赤ちゃんは皮膚がやわらかいので、全身どこでも刺されてしまいます。
赤ちゃんがダニに刺される原因は?
ヒトを刺さないダニをエサにして、ヒトを刺すダニが増える
家の中にいるダニには、ヒョウヒダニ、コナダニ、ツメダニの3種類があります。
・ヒョウヒダニほぼ1年中見られるダニで、家にいるダニのほとんどはこのダニです。ほこりやヒトのフケ、アカなどをエサとし、カーペットや布団など布製のものに多く生息しています。フンや死骸がアレルゲンになりますが、ヒトを刺すことはありません。
・コナダニ梅雨の時期や秋の初めごろによく見られます。砂糖や小麦粉、みそなどの食品や医薬品などに生息し、繁殖力が強いダニです。ヒョウヒダニと同様、ヒトを刺すことはありませんが、コナダニが増えると、コナダニを捕食するツメダニが増えることにつながります。
高温多湿になりやすい布団は、ダニの好む環境。
・ツメダニ梅雨の時期や秋の初めごろに多く見られます。畳やカーペット、布団などに生息し、ヒョウヒダニやコナダニ、その他の小さい昆虫などをエサとしています。本来ヒトを刺すことはありませんが、誤って刺すことも。刺したところから唾液を入れてヒトの体液を吸うため、激しいかゆみが起こります。つまり、ヒョウヒダニやコナダニが増えるとツメダニも増え、刺されることが多くなるのです。
どのダニも高温多湿を好むので、初夏~初秋にかけての被害が多いですが、最近ではエアコンの普及や家の密閉性の高さから、冬でもダニにとって住みやすい環境になっているようです。
赤ちゃんがダニに刺されたときの治し方
患部を冷やしてかゆみを抑える
ダニに刺されたときのかゆみはかなり強いものです。赤ちゃんが刺されたところを頻繁にかいているようなら、市販のベビー用かゆみ止め薬を使ってみてもいいでしょう。
体が温まって血行がよくなると、かゆみが増します。ねんねしているときに布団をかけすぎていないか、衣服を着せすぎていないかなどをチェックしましょう。
水で濡らして固くしぼったタオルや、保冷剤を包んだタオルなどで刺されたところを冷やしてあげると、かゆみを抑える効果があります。
かゆみが強く、赤ちゃんが無意識にかいてしまう場合は、冷やしてあげるとかゆみを抑えられます。
赤ちゃんがダニに刺された! 病院に行く目安は?
かきこわして「とびひ」になる前に受診を
かゆみが強いと無意識にかいてしまい、かきこわしたところから「とびひ」になることもあります。
とびひは「伝染性膿痂疹」(でんせんせいのうかしん)といい、主に黄色ブドウ球菌が皮膚に感染することで起こります。黄色ブドウ球菌は、鼻の中やのど、皮膚、便などにいる常在菌です。
虫に刺されたところをかきこわすと、黄色ブドウ球菌が含まれた液が入った水ぶくれができます。かゆみが強く、やわらかくてすぐにつぶれるため、ひっかいて水ぶくれをこわすと黄色ブドウ球菌が手につきます。その手でほかの部位を触ると、さらにそこにも水ぶくれができ、あっという間に全身に広がってしまいます。
首すじにひろがったとびひ。
とびひは他の人にもうつります。保育園に行っているなら他の子に、きょうだいがいればきょうだいにうつる可能性が高くなります。市販のベビー用かゆみ止め薬を使ってもかゆみが治まらなかったり、赤いポツポツが増えてくるようなら、できるだけ早めに受診しましょう。
受診すると処方される薬
皮膚科を受診すると、オイラックスHやロコイド、リンデロンなどのステロイドが配合された塗り薬が処方されます。
オイラックスHは、腫れや赤みを抑えるステロイド成分とかゆみを抑える成分が配合されています。ロコイドは腫れや赤みを抑え、かゆみを和らげるステロイド剤、リンデロンには炎症を抑えるステロイド成分と抗菌薬が配合されています。ただし、薬は症状に応じて処方されるので、家に同じ薬があっても、自己判断で使わないようにしましょう。
ロコイドは、ステロイドの中では効き目がおだやかなものの1つ。
リンデロンは、ステロイドと抗菌薬の配合剤。
いずれも患部にチョンチョンと塗って使い、塗り広げるようなことはしません。入浴して肌を清潔にしたあとや、朝起きて患部を拭いたあとなどに、1日数回塗ります。
ステロイド剤は医師の指示どおりに
ステロイド剤というと「怖い薬」と思っている人も多く、少し症状がよくなると勝手にやめてしまうことも。しかし、ステロイド剤は、正しく使えば副作用が出ることはありません。指示された用法・用量を守らないと、かえって症状をくり返すことがあります。必ず医師の指示どおりに使い、医師から薬の使用をやめる指示が出るまで続けてください。
もし、ステロイド剤を使うことに不安を感じているなら、正直に医師に話しましょう。不安になるのは、きちんとした情報がないことも一因です。薬について説明を受けて不安を取りのぞき、赤ちゃんにとって適切な対応をしてあげましょう。
赤ちゃんがダニに刺されないための対策
こまめに掃除機で掃除する
ツメダニがエサとするヒョウヒダニは、ホコリやヒトのフケ、髪の毛、食べかすなどをエサとしています。ヒョウヒダニやコナダニ、ツメダニなどは、いずれも0.2~0.4㎜程度の大きさで、肉眼で見つけることはできません。
こまめに掃除機をかけて、ダニやダニの死骸、ホコリなどを吸い取りましょう。その後に水拭きをすると、さらに効果的です。
カーペットにもダニが潜んでいます。
布団やシーツなどを清潔に
布団やシーツ、タオルケットなどにはフケや髪の毛、アカなどが落ちています。布団はあまり干さないと湿気がたまり、高温多湿が好きなダニの温床に。天日干しにして湿気をできるだけ少なくし、干した後は布団クリーナーなどを使ってダニの死骸を吸い取りましょう。
シーツやタオルケットは大物の洗濯になり、干すのも大変ですが、こまめに洗濯することがダニの被害を減らすことにつながります。ダニは50℃の熱を30分あてることで死滅するといわれるため、乾燥機で乾燥させるのも効果が見込めます。
ぬいぐるみや布製おもちゃを定期的に洗濯
ぬいぐるみや布製のおもちゃなども、ダニが好んで潜むものです。赤ちゃんが触れたり、口に入れたりするので、清潔に。洗濯できないぬいぐるみは天日干しにしてからクリーナーをかけ、布製のおもちゃはこまめに洗濯するようにしてください。
積極的に部屋の換気を
ダニは高温多湿の環境が大好きです。部屋を閉め切った状態だと湿度が上がってしまうので、適度に換気して、ダニが繁殖しにくい環境を作りましょう。