離乳食でアレルギーが出やすい食材
食物アレルギーの原因は、食品に含まれるたんぱく質です。理論的にはどんな食品でもアレルギーを起こす可能性があります。離乳食によく使う食品で食物アレルギーが出やすいのは、卵、牛乳、小麦粉です。これらは3大アレルゲンともいわれ、とくに注意が必要です。また、果物を離乳食に取り入れることがありますが、りんご、なし、もも、さくらんぼ、いちごなどのバラ科の果物も、アレルギーの原因食品になることがあります。
離乳食でみられるアレルギーの症状
食物アレルギーでは、さまざまな症状が出ます。
最も多いのは
皮膚の赤みやかゆみ。
そのほか
・唇や舌のはれ・くしゃみ・鼻水・鼻詰まり・腹痛・吐きけ・下痢などの症状が出ることもあります。
すべての症状が出るわけではなく、食べた量や子どもの体調によって異なります。これらは比較的軽症で、自然に治まることもあります。呼吸がゼーゼーする、顔色が悪い、息が苦しそうなどアナフィキラシーショックを起こしている場合は、できるだけ早く受診することが重要です。
離乳食でアレルギー反応が出るのはいつ?
離乳食を食べてすぐから、2時間以内にアレルギー反応が出ることが多いのですが、なかには6~8時間後、1~2日後に出ることもあります。反応が出るまでに時間がかかっている場合は、原因食品を見きわめるのが難しくなります。
離乳食でアレルギーを防ぐための注意点
十分加熱して、小さじ1杯から与える
離乳食はおかゆから始めることが多く、その後、にんじん、かぼちゃなどの野菜類、豆腐や卵黄などのたんぱく質(源)と進めていきます。ひとつの食品に慣れてから次の食品に移るようにしましょう。
はじめての食品を与えるときは、赤ちゃんの体調のいいときを選び、新鮮なものを十分加熱して、小さじ1杯から与えます。ほとんどの食品は加熱することでたんぱく質成分が吸収されやすい形になり、免疫システムが「有害な食べ物」と誤解することを減らせます。野菜類や肉、魚はもちろん、大人は生で食べる果物も、はじめて食べさせるときには加熱しましょう。
しっかりスキンケアをする
発疹(湿疹)などの肌のトラブルがあると、そこからアレルゲンが入り、抗体をつくることがわかってきました。また、赤ちゃんの肌を保湿して、デリケートな肌を刺激から守ってあげることでアレルギーを予防できることもわかってきました。
食事の前後は口のまわりに保湿剤を塗る、朝晩体をきれいにふいて保湿剤を塗るなど、スキンケアをしっかり行いましょう。
食べさせる時期は遅くしない
かつては「食物アレルギーが心配される赤ちゃんに、卵や牛乳を与えるのは、できるだけ遅くするのがいい」とされていました。ところが最近、これに反する研究が発表され、考え方が大きく変わってきています。
・ピーナッツアレルギーアメリカのピーナッツアレルギーの研究です。アトピー性皮膚炎や卵アレルギーのある乳児に、乳児期からピーナッツを含む食品を食べさせると、まったくピーナッツを食べさせなかった子よりも、5歳の時点でピーナッツアレルギーの発症が少なかったのです。従来の「ピーナッツアレルギー予防のためには、乳児にピーナッツを与えないほうがよい」という考えとは逆の結果でした。
・卵アレルギー日本の成育医療研究センターの研究です。固ゆで卵の粉末を生後6ヶ月から食べさせたグループと食べさせなかったグループで比較したところ、1歳の時点での卵アレルギーの発症率は、卵を食べたグループのほうが8割も少なくなっていました。
食べさせる時期を遅らせないほうが食物アレルギーが出にくいとはっきりわかっているのは、今のところはピーナッツと卵だけ。ほかの食品で同じような結果になるかどうか、現時点ではわかりません。ただ、「アレルギー予防のために特定の食品を食べさせなかったり、食べさせる時期を遅らせたりする必要はない」というのがアレルギー専門医の共通認識になっています。授乳や離乳についての国の考え方を示す『授乳・離乳の支援ガイド(改訂)』(2019年3月発布)では、次のように明記されています。
「食物アレルギーの発症を心配して、離乳の開始や特定の食物の摂取開始を遅らせても、食物アレルギーの予防効果があるという科学的根拠はないことから、生後5~6ヶ月から離乳を始めるように情報提供を行う」
食物アレルギーがわかっている場合は
加熱して小さじ1杯から、スキンケアをしっかり、食べさせる時期を遅らせないというのは、すべて予防の話です。治療法ではありません。
すでに食物アレルギーを発症していたり、医師に食事療法を指示されたりしている場合は、絶対に自己判断で食べさせないこと。ときには命にかかわることもあるので、きちんと医師の指示に従いましょう。