赤ちゃんに早く会いたい!でもその前に待ち構えるのが「陣痛」。陣痛はお産が始まるサインです。痛くないといえばウソになるけれど(個人差アリ)、陣痛の痛みを和らげるコツを知っておけば、リラックスしてお産に臨むことができます。ベテラン産婦人科医がおすすめする「陣痛の痛み和らげ法」と、先輩ママたちの体験談をご紹介します。
「腹式呼吸」がお産の痛みを軽減させる
お産の痛みを和らげるには、リラックスすることが大切。リラックスのために何が役立つのかを考えれば、痛みを軽減させるヒントになります。
痛みに過剰に反応すると、ハッハッという浅い呼吸の胸式呼吸になって息が荒くなり、全身が興奮、緊張状態になります。そうなるとお産には逆効果で、進みが悪くなります。
お産時の呼吸法はリラックス効果のある「腹式呼吸」が基本です。
吸う背筋を伸ばす姿勢でおなかの赤ちゃんに意識をもっていき、赤ちゃんに酸素を送り込むイメージで鼻からゆっくり空気を吸い込みます。
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ため込む取り入れた空気は、丹田(おなかの奥、おへその下あたり)にため込むような感じで。赤ちゃんにいい酸素が送れているかをイメージ。
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吐く上体を少し前に倒して息をゆっく~り長~く吐きます。息を長く吐くことで心が落ち着くので、陣痛中にリラックスすることができます。
ゆっくり吸って、ゆっくり長く吐く腹式呼吸を妊娠中からマスターしておきましょう。腹式呼吸が上手にできれば痛みが緩和されます。
「五感をフル活用」して痛み緩和!
陣痛中、腹式呼吸と合わせて実践してほしいのが、【聴覚・触覚・嗅覚・視覚・味覚】の五感を使ったリラックス法です。
①「聴覚」でリラックス
誰かに声をかけてもらえば心が休まる周りに誰もいない不安はママにとってストレスに。夫の励ましや、助産師の声がけを聞くだけでもリラックス作用があります。音楽を流すこともおすすめ。ヒーリング系にかぎらず自分の好きな音楽でOK。
●お産が早く進み、分娩台の上で痛みに耐えながら一人ポツーン…。夫が来て声を聞いたら、安心して頑張ることができました。(響ママさん)
②「触覚」でリラックス
何かに触れることで痛みを分散手と手が触れることで安心感が生まれ、痛みも分散されます。夫に腰をさすってもらったり、カイロであたためることも痛みを和らげる良い方法。会陰にかたいボールを押し当てると、ツボ押し効果で痛みが和らぐことも。
●夫にハンドマッサージ、助産師さんに足浴をしてもらいました。体を温めるとと痛みが和らぐのは本当でした!(かほママさん)
③「嗅覚」でリラックス
リラックスできる香りはお産の必需品香りにはリラックス効果があります。タオルにアロマオイルをふくませて辛いときに香りをかげば心が休まります。興奮や緊張には柑橘系、いきむ力が足りないときはペパーミントで刺激をするなど、お産の場面によってアロマの香りを使い分けるのもいいでしょう。
●ラベンダーの香りが好きだったので、分娩室にアロマディフューザーを持ち込ませてもらい、好きな香りが広がる中で出産しました。(のんママさん)
④「視覚」でリラックス
興奮を抑える雰囲気づくりで安産をめざす家族や夫がそばにいる安心感がいいお産につながります。お産をうまく進めるには雰囲気づくりも大切です。明るい場所には興奮作用があるので、室内の明るさが気になったら助産師に「照明を落として」と伝えてください。
●あらかじめミニアルバムに整理しておいた赤ちゃんの超音波写真を見て、「もうすぐ会える!」と思いながら辛い時間を乗り越えました。(琴音ママさん)
⑤「味覚」でリラックス
お産が進むようにエネルギー補給をお産は体力勝負。何かを口にするようにしましょう。お産が進む中で水分不足になると脱水症状を引き起こすので、何も食べられない人は氷を口に含むだけでもOKです。
●お腹は減っているけど痛みで何も食べられなかったので、せめて糖分だけでもと思いミルキーをなめていました。(千夏ママさん)
五感活用とともに大事なことが、胎児との絆
五感を使うとともに意識してほしいのが「胎児との絆」。
お産はママひとりでがんばっていると思いがちですが、赤ちゃんも外の世界に出るために頑張っています。赤ちゃんを思いながら一緒にお産を進めることで母性が芽生えて、不思議と痛みは和らいでいきます。
「私が赤ちゃんを守るんだ!」という気持ちを、妊娠中からもっておいてください。
いよいよお産本番!分娩台の上でもやれることをやる!
分娩台に上がったら、いよいよお産間近です!
<分娩台での心構えと姿勢>・赤ちゃんに酸素を送るイメージで腹式呼吸をする
・赤ちゃんが下りてきているイメージを思い浮かべる
・腰は浮かせすぎないようにする
・手は分娩台のグリップをしっかり握る
・足はしっかりとふんばる
平均的な分娩所要時間は15時間前後(初産の場合)で、その間に痛みを感じる時間は約23分。四六時中痛いわけではないのです。
痛くないときはしっかり休んで、陣痛と陣痛の合間に気持ちを整えることがいいお産への近道です。
「分娩監視装置」の数値を読めるようになっておこう
五感の視覚を活用したお産の痛みを和らげる方法でおすすめなのが、「分娩監視装置の見方」を覚えること。
分娩監視装置で陣痛の有無、赤ちゃんの心拍数を読むことができれば、ママと赤ちゃんが今どんな状態なのかを把握できますし、陣痛の合間にきちんと体を休めることができます。
分娩台の上で気になることがあれば遠慮しないで伝える
室内には頼りになる助産師がいるので、分娩台の上での姿勢はこれでいいのか、もう少し高く上げてほしい、苦しいから低くしてほしいなど、何かリクエストやお願いしたいことがあれば遠慮なく伝えることも、お産がうまくいくポイントです。
先輩ママの「お産の痛み乗り切り」体験談
先輩ママたちは、陣痛の痛みをどうやって乗り越えたのでしょうか。お産当日の様子や辛いときに役立ったアイテムなどを教えてもらいました。
母のヘルプと元気になれる音楽で無事出産!(Nママさん)
●分娩時間12時間。生理痛のような鈍痛から、だんだんと激痛へ。おなかより腰回りが痛くて、もともと腰痛もちだったのでダブルの痛みで辛かった!
●持参したお産の痛み乗り切りグッズ腰の痛み用に湯たんぽ&カイロを持参。4人部屋に私だけだったので、大好きなK-POPを流しながら気を紛らわしていました。音楽はオススメ!
腰痛持ちなのでとにかく腰が痛かった!母に腰をさすってもらったり、熱いお湯に浸したタオルでふいてもらったり、助産師さん顔負けの“いい仕事”をしてくれた母。夫は横で「頑張れ!」の声掛け担当(笑)。
あたためたら痛みが和らいでラクでした(K・Cママさん)
●分娩時間7時間24分。夫の到着が遅れて「明日まで待てる?」と語りかけたら、陣痛が弱まったんです!夫が来るまで待っていてくれたみたい。
●持参したお産の痛み乗り切りグッズ特に準備したものはなかったけど、微弱陣痛で2日間ほど一睡もできなかったので、気分が楽しくなるような、笑える本があればよかったかな。
産院で用意してくれたアロマや足浴は、とってもラクになりました。助産師さんに腰をさすってもらったときも痛みが和らいだし、痛いなかで入ったお風呂も、全身がじんわりあたたまって痛みが軽減されました。
痛いとき、とにかくいろいろ試してみて!(Y・Eママさん)
●分娩時間6時間。どんな痛みが本格的な陣痛かわからず自宅でがまんしていました(笑)。病院に行ってからはあっという間で、2時間くらいで生まれました。
●持参したお産の痛み乗り切りグッズペットボトル用のふたつきストローが寝ながら使えて便利。夏出産でしたが汗をかいて暑かったので、うちわを用意しておけばよかったです。
四つんばいになったりいろんな姿勢になってみたり、痛いときは布団やタオルをギュッと握ったりしながら痛みを逃していました。体をあたためるためにシャワーを浴びたら、少しラクになったような気がします。
痛くてしんどいときイメトレ効果を実感!(K・Kママ)
●分娩時間25時間。陣痛促進剤を打ってから微弱陣痛にずーっと苦しみました。結局は人工破膜をして、そこから一気にお産が進んで、破膜後30分で出産。
●持参したお産の痛み乗り切りグッズ持参はしていないけど、産院に置いてあった抱きまくらはヒットアイテム。痛くて体勢が定まらないなか、横向きで抱きまくらはラクでした。
抱きまくらを抱えながら、マタニティヨガ教室で教わったイメージトレーニングを実践。実はお産当日までイメトレって大事なの?って半信半疑だったけど、赤ちゃんのことを考えているときは本当に痛みが和らいだような…。
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お産の痛みを和らげるには、ママ自身が「リラックス」することが大事だということがわかりました。痛みや不安でパニックになってしまうこともあるかもしれませんが、おなかの赤ちゃんを思いながら、なるべくリラックスすることを心がけてお産本番に臨みましょう!
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