なかなか泣きやまない時、いたずらをした時…赤ちゃんに何か言っても意味がないのでは!? そもそもどんな言葉をかけたらいいかわからない……と思っていませんか?でも、低月齢のころからくり返し言葉をかけることで、赤ちゃんは徐々に大人の言うことを理解するようになります。
今回は、ママ達から質問のあった「困った」場面別に、カリスマ保育士・てぃ先生が言葉のかけ方をアドバイスします。基本的に「ダメ」は赤ちゃんへのNGワード。「○○しないようにしようね」「○○しようね」と伝えるのがベター。「理由を説明して『だから協力してね』と言うようにしましょう」(てぃ先生)
ねんね~寝返り期の赤ちゃんへの声かけ
言葉を理解できなくても、赤ちゃんは聞いています。声かけに困ったら見たままを言葉にする実況中継がおすすめ。恥ずかしがらずに、声をかけてあげて。
ゴミ出しをしたいのにぐずっている時
赤ちゃんがぐずっていて、ゴミ出しの時間がせまってきた時に、なんと言えばいいか困ります。(4ヶ月ベビーのママ)
●てぃ先生のアドバイス「急いで お外に行くよ、協力してね」ママ&パパは、赤ちゃんの機嫌を先に直してあげたい気持ちかもしれません。でも、暮らしの中でしなければならないことは、赤ちゃんにも協力してもらいましょう。泣くかもしれませんが、声をかけながら抱っこして、ゴミ出しにGoでかまいません。
おむつ替えや着替えのときに寝返りをしてほしくない時
急いでいる時は押さえつけて替えたくなりますが、泣かれるのも困る……。(5ヶ月ベビーのママ)
●てぃ先生のアドバイスまずはお気に入りのおもちゃを渡す、それでもダメならふだんさわりたがっているものを渡して
「これをどうぞ」財布やスマホ、キーケースなど、赤ちゃんは大人が使っているものが大好きです。ふだんはさわらせないようにしているかもしれませんが、こんな時こそ出番! 「どうぞ」と持たせてあげましょう。いつもはさわれないからこそ、効果があります。衛生面が気になる時は、事前にふいて渡します
何をしても泣きやまない時
おむつでも授乳でもないみたい……。ぐあいが悪いわけでもなさそう。でも、泣きやまない時は?(3ヶ月ベビーのママ)
●てぃ先生のアドバイス「カーテンがひらひらしているね」「ママ、〇〇ちゃんを抱っこしているよ」「夕焼けだね」ムスッとして時間を過ごすのは、親もつらいですね。こういう時には“実況中継”です。何も考えず、目に見える風景やできごとを、できるだけ言葉にしていきましょう。言葉の響きや見えたものの中に、赤ちゃんが気分を切り替えるきっかけになるものがあるかもしれません。
出かける直前にうんちをした時
準備ができて出かけようというタイミングでうんちをされると、「なんで」といらだちます。イライラをぶつけないためには、なんと言ったらいい?(5ヶ月ベビーのママ)
●てぃ先生のアドバイス「うんちしたくなったんだね。急いでいるからパパッとかえるよ」急いでいる時にやさしくおむつを替えるなんて、無理かもしれませんね。イライラして多少手荒くなりそうだと思うなら、「パパッとかえるよ」と言葉にしたほうが、冷静さをとり戻しやすくなります。相手が赤ちゃんでも、「ママは急いでいる」という、いまの状況を伝えてもいいんです。
ゲップがうまく出ない時
おっぱいのあとにゲップがうまく出ない時、なんて声をかけたらいい?(2ヶ月ベビーのママ)
●てぃ先生のアドバイス「トントンしているよ」「トントンされているね」「ゲップが出るようにしているよ」赤ちゃんの様子や自分がしていることをそのまま、言葉にしてみましょう。ゲップが出なくてトントンされていること、親がゲップを出せるようにしていることを淡々と声にするうちに、ゲップが出るかもしれません。そうしたら、「出せたね」「よかったね」と喜んであげてください。
おすわり~はいはい期の赤ちゃんへの声かけ
おすわりで視野が高く、はいはいで移動ができるように。大人には困るいたずらも、赤ちゃんにとっては成長です。
口をさわられるのをいやがる時
離乳食のあと、口のまわりがベタベタに。口の中もぬぐいたいのですが、全力でいやがります。(8ヶ月ベビーのママ)
●てぃ先生のアドバイス「きれいになると気持ちがいいよ」「お口がすっきりするよ」「 気持ちが悪いから、きれいにしようね」と言いがちなのですが、ベタベタして気持ちが悪いというのは、大人の主観です。赤ちゃんがどう思っているかはわかりません。清潔が大切であることが伝わるように、「きれいにすると気持ちがいい」と説明するようにしましょう。
帽子をいやがる時
帽子をかぶらせるといやがってすぐに脱いでしまい、なかなかお出かけできなくて困ります。保育園のお散歩でもいやがっているみたい。(10ヶ月ベビーのママ)
●てぃ先生のアドバイス頭をなでながら、帽子を見せて
「これからかぶるよ」事前に
「かぶってお散歩に行く練習をしよう」まず、帽子は赤ちゃんといっしょに買いに行き、いっしょに選んでみましょう。かぶらせる時は親が正面に回って、頭を少しなでてからかぶらせると、違和感を減らせます。ここまで事前に何度か練習しておくと、本番でスムーズにかぶる可能性が高いですよ。
機嫌がよくて奇声をあげる時
外出中に、「キャーッ」と奇声をあげます。機嫌がいいみたいなのですが、周りの人には迷惑ですよね。なんと言ったらいい?(9ヶ月ベビーのママ)
●てぃ先生のアドバイス「ご機嫌なんだね。楽しいね。いまは静かにしようね」やめさせるのはむずかしいですね。それでも、ママ&パパは赤ちゃんにそっと話しかけて、なんとかしようとする姿は見せておいたほうがよいかもしれませんね。ちなみに僕は、こんな親子がいると、「赤ちゃん、元気ですね」と話しかけることがあります。親子の周りに味方ができることになり、プレッシャーを減らせるからです。
ママがいい!と、パパにギャン泣きする時
パパに寝かしつけてもらおうとしたり、ちょっと見ていてもらおうとしたりすると、「ママがいい!」とギャン泣き。(9カ月ベビーのママ)
●てぃ先生のアドバイス「パパといてね。待っててね」赤ちゃんは生後半年くらいたつと、それまでお世話をしてくれた人への愛着が生まれ、ほかの人にお世話をされることをいやがるようになります。多忙で赤ちゃんとのふれ合いが少ないパパにギャン泣きしやすいのは、そのためです。それでもパパに見てもらうときには、理由を伝え、待っていてもらいましょう。
いたずらをする時
ティッシュを全部出す、たたんだ洗濯物をくずすなど、いたずらをします。イライラして受け入れられない時は、なんと言ったらいい?(11ヶ月ベビーのママ)
●てぃ先生のアドバイス「ティッシュは出さないでね」「たたんだから、くずさないでね」かわりのおもちゃを渡して
「これならいいよ」引っぱり出したり、倒したりができるようになったのですね。いまは、自分の思うように指先を使えることが、楽しくてたまらない時期。だから、目の前のものに手が出てしまうのです。親の希望は伝えつつ、思う存分に遊べるおもちゃを用意して、気持ちを満たしてあげましょう。
ママの腕をかむ時
痛いし、べとべとするし、衛生的ではないので困ります。やめさせるには?(7ヶ月ベビーのママ)
●てぃ先生のアドバイス歯がためなどを渡して
「かまれたら痛いから、いやだな。こっちならいいよ」かむ理由は、いくつかあります。もしかしてママが反応してくれるのがうれしくて、かんでいるのかも。そんな時は「痛いからいやだ」という気持ちを、そのまま伝えましょう。歯が生えそうで歯ぐきがかゆい時期なら、清潔な歯がためなど、かんでもよいものを用意してあげてください。
あと追いをする時
ママがトイレへ行こうとすると、はいはいで猛ダッシュしてついてきます。トイレくらい、ゆっくり行かせてほしい……。(11ヶ月ベビーのママ)
●てぃ先生のアドバイス「いまからトイレに行ってくるね。戻ってくるからね」「ほら、戻ってきたでしょう」ママが戻ってこないのでは……という不安から、姿が見えなくなると追いかけてくるのです。相手が赤ちゃんでも、離れる前後の声かけは忘れずに。ただし、事前に言っても、追われる時期はしばらく続きます。あきらめず伝え続けるうちに追ってこなくなるので根気よく!
たっち~あんよ期の赤ちゃんへの声かけ
成長するにつれ、「自分で!」という自己主張もふえます。赤ちゃんの気持ちを尊重しながら、大人の思いも伝えて。
チャイルドシートやヘルメットをいやがる時
いやがってチャイルドシートに座ってくれません。自転車のヘルメットもいやがります。(1才ヶ月ベビーのママ)
●てぃ先生のアドバイスその場で、親も装着しながら
「ママもつけるよ」「大事だから、つけようね」事前に
「ヘルメットかっこいい!かぶる練習をしよう」
自分にだけさせられることを、子どもはいやがります。まずは親がつけるところを見せましょう。親は、ヘルメットのかわりに帽子でもかまいません。いきなり自分だけやらされるのとでは、子どもの受け入れやすさが違います。帽子の時と同じく、家の中での練習も効果があります。
ママから離れられない時
児童館などで、ほかの子はママから離れて遊んでいるのに、うちの子はぴったりくっついて離れません。社交性がないのかと不安になります。(2才ベビーのママ)
●てぃ先生のアドバイス「〇〇ちゃんは、ママといたいんだね」赤ちゃんにとって、親は精神的な安全地帯。どんな子でも時々戻ってきて、安全を確認してはまた離れていくものです。離れられないのは、安全を確認しているからでしょう。そこで「行きなさい」と拒絶されたら、不安になって余計に離れられなくなります。安全確認にかかる時間は人それぞれで、それが子どもの個性です。まずはママのそばで安心させてあげてください。
おちんちんをさわる時
気がつくと、おちんちんをさわっています。クセにならないか心配……。(1才3ヶ月ベビーのママ)
●てぃ先生のアドバイス「手遊びしよう」「ママと、おててを合わせよう」不安になった時に陰部にさわると、なんとなく落ち着くのでしょう。「さわってはダメ」とは言わず、自然に手が離れるように、手遊びなどに誘ってください。親自身も、むやみに子どものプライベートゾーン(陰部、胸、おしりなど)にさわらないように心がけましょう。
おふろから出るのをいやがる時
遊ぶのが楽しくて、おふろから出たがりません。寝る時間が遅くなるのでサクサク終えたいのですが、いつももめて疲れます。(1才4ヶ月ベビーのママ)
●てぃ先生のアドバイス「おふろから出たら、クリームを塗るのを手伝ってくれる?」子どもは役割を与えられると喜んで引き受けてくれます。この場合は、おふろから出たあとの役割を提案すると、スムーズに動いてくれるはず。おふろに入りたがらない場合も同じです。「泡ソープを出す係をお願い」「ママにお湯をかけるのを手伝って」とお願いしてみましょう。
自分で靴をはきたがる時
うまくできないので時間がかかり、親がはかせたほうが早いのに……と思ってしまいます。急いでいる時に手出しするには、なんと言えばいい?(1才8ヶ月ベビーのママ)
●てぃ先生のアドバイス「ママが手伝ってもいい?」「ここはママがやるから、ペタッとするのを手伝ってくれる?」「保育園の日は、ママがやるよ」黙って手助けするのではなく、「手伝う」というワードを使うと、子どもは喜びます。かかとを入れるところはむずかしいのでママが「手伝って」、子どもには面ファスナーをとめるのを「手伝って」もらいましょう。「保育園の日はママ、お休みの日は○○ちゃん」と、きっぱり決めるのもよいと思います。
すべての赤ちゃんへの声かけ
大人の事情に関係なく、赤ちゃんは泣いたり怒ったり。こんな時はなんて言う?月齢に関係なく、おすすめの声かけをご紹介します。
オンライン会議へ乱入してくる時
家でテレワーク中に、オンライン会議に乱入してきたり、赤ちゃんがぐずったり。仕事相手にも申しわけなくて……。(10カ月ベビーのママ)
●てぃ先生のアドバイス「お仕事だから待っていてね」「待っていてくれてありがとう」10カ月だと、乱入を止めるのはむずかしいです。ママは乱入されない環境(バスルーム、トイレなどでもOK)で仕事を進め、赤ちゃんには誰かといっしょに待っていてもらいましょう。初めと終わりの声かけは忘れずに。1才半くらいになると、大人の事情がわかるようになります。あと少し、この方法で乗り越えて。
ママ以外の人に預けると泣いてしまう時
保育士さんに渡すと大泣きします。毎朝のことなので、心が折れそう……。(8ヶ月ベビーのママ)
●てぃ先生のアドバイスニコニコして
「今日もお願いします!〇〇先生と楽しんでね」ポイントは、短時間でいいので、ママが保育士さんと仲よく話しているところを見せながら言うこと。赤ちゃんは「大好きなママが仲よくしているならいい人だ」と認識して、安心できます。反対に、いきなり渡されると、ママとの関係がわからないので不安になります。
かんしゃくを起こす時
電車やバスでぐずるときや、店や路上でかんしゃくを起こす時は、なんと言えば落ち着くでしょうか。人の目も気になります。(1才10ヶ月ベビーのママ)
●てぃ先生のアドバイス「こういう気持ちだったんだね」「こうしたかったんだね」人目がある場所だと、親も冷静に話せません。とりあえずは抱きかかえるなどして、別の場所へ移りましょう。そのあとで、子どもの言い分を聞き、共感を言葉で示すことが大切です。子どもは、親がわかってくれたと思えると、親の言うことに耳を傾ける気になります。
鼻掃除や歯みがきをいやがる時
鼻をたらしているのでふこうとすると、抵抗します。歯みがきも身をよじって逃げようとします。いやがらずにさせてくれる言い方は?(1才ベビーのママ)
●てぃ先生のアドバイス正面から
「いまから鼻をふくよ」歯ブラシを見せて
「これでゴシゴシするよ」「横からサッと手が出てきて、鼻をさわられた!」「口に突然、歯ブラシを突っ込まれた!」。親の行為は、赤ちゃんからすれば、こんなふうに受け止められているかもしれません。抵抗されて当たり前ですよね。何かする時には正面に回り、事前に予告するようにしましょう。
赤ちゃん時代から育てたい“気持ちの切り替え力”
「赤ちゃんに『臨機応変』はありません。たとえば登園の時、『いつもは電車が見える道を通る。でも今日は急ぐから通らない』ということは通用しないのです。大人はいつも見ているでしょ、と思うかもしれませんが、赤ちゃんはいつもしていることは、今日もできないと納得しません。
できない可能性があることなら、最初からやらないほうが、気持ちの切り替えがしやすいでしょう。平日・休日などの区別をつけて、日々のルーティンを大切にしてください。
また、赤ちゃんがぐずると、大人はいろいろな方法で気分を切り替えてあげようとするものです。月齢が小さいうちはそれでよいのですが、2才近くなったら“子どもが自分で気持ちを切り替えられる”ようにしていくことも大切です。
気持ちを切り替える方法は、子ども自身が試行錯誤して見つけていきます。外出先ではむずかしいかもしれませんが、家でぐずったときはすぐにかけ寄らず、30秒くらいは様子を見ましょう。その積み重ねで、自分の気持ちの切り替え方を学んでいきますよ」(てぃ先生)
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