小学校に入ると必ず宿題に出る、おなじみの「音読」。この音読が、脳を活性化させるということで、注目を集めています。
この効果をより高めるために、“何を読むか”が実は重要なのをご存じですか?
音読は脳を、名作は心を伸ばす力がある
音読をすると、視覚、聴覚、発声など、脳のさまざまな部位が同時に刺激され、語彙力や読解力、思考力を伸ばすと言われています。
この脳が活性化した状態のとき、ぜひ読ませたいのが質の高い文章。昔から愛されてきた有名なおはなしや詩、俳句や和歌、童謡など、いわゆる「名作」です。
「名作」として愛されてきた作品には磨きぬかれた言葉や表現が使われています。子どもがそれらに触れることで、言葉への感受性が高められます。
また、作品に描かれた、時代や場所を越えた文化や習慣などを知ることで知識や教養が身につき、さらには作品の世界を音読で疑似体験することで、想像力や発想力、自立心などの非認知スキルも養われます。名作を音読することは、“脳も心も”伸ばしてくれるのです。
就学前から始めたい、音読で家族が向かい合うひととき
教育学、保育学等の第一人者である監修の汐見稔幸先生(東京大学名誉教授、白梅学園大学名誉学長)によると、「音読は語る人と聞く人が作品の世界を共有するコミュニケーション」です。
子どもが文字を読めるようになったら、俳句やことわざなどの短い作品から音読にチャレンジさせてみてはどうでしょう。
「家庭での音読は、家族で楽しむことがいちばんの目的です。子どもが上手に読めるかどうかではなく、家族の日々の一つの遊びとして取り入れるとよいでしょう」と汐見先生。
時には親が読み、時には子どもが読み、一つの作品を家族で味わう楽しいひとときが、子どもの脳と心をぐんぐん育てるのです。
『頭のいい子を育てる 名作おんどく366』宮沢賢治や新見南吉、清少納言や松尾芭蕉、百人一首、イソップやアンデルセン、マザーグース、谷川俊太郎や金子みすゞなど、詩や物語、童謡や古典など全10ジャンル、古今東西の「名作」を1日1話、366日分掲載。
【監修】汐見稔幸 東京大学名誉教授、白梅学園大学名誉学長教育学、保育学、育児学などが専門。NHK Eテレ「すくすく子育て」ではたくさんの親御さんに温かなメッセージを伝えている。『頭のいい子を育てる 名作おんどく366』『エール イヤイヤ期のママへ』『エール プレ思春期のママへ』(いずれも主婦の友社)など著書、監修多数。
※『頭のいい子を育てる 名作おんどく366』の内容をウェブ掲載用に再編集しています。