「まさか自分がなるとは思わなかった」と、経験者が口をそろえて語るのが〈切迫早産〉。妊婦さんなら誰しも、なる可能性のある切迫早産を経験したママの体験談を紹介します。
切迫早産とは?
妊娠22週から36週の終わりまでの間に、赤ちゃんが生まれそうになる状態のこと。出血やおなかの張り、下腹部の痛み、おりものの増加など、体のサインに早めに気づけば、早産になるのを防げるケースも。
切迫早産と言われたときの治療の基本は「安静に」過ごすこと。症状や仕事、家庭の状況などによって、自宅安静から入院まで、安静の度合いは異なります。どのくらいの安静が必要かは、医師に体的に確認を。
(『はじめてママ&パパの妊娠・出産』(主婦の友社)より)
トラブル発生!だけど幸運なことに激痛に襲われた場所は…
【31歳で妊娠/Uさん】はじめての妊娠。うれしい気持ちもある反面、妊娠初期から出血があったり、つわりがひどかったり…。仕事もとても忙しく、体調不良と闘いながら、なんとか安定期を迎えたころのエピソードです。
MRとして妊娠してからも忙しい日々
私は製薬会社に勤める営業担当、通称MRという仕事をしていました。担当領域が産婦人科だったので、産婦人科ドクターを訪問する毎日。
30歳で結婚し、31歳で妊娠。MRを続けながらの妊婦生活に多少の不安はあったものの、仕事上、毎日産婦人科ドクターと顔を合わせるため、「何かあれば、先生方に相談すればいいや!」と、のんきに考えていました。
ところが、妊娠初期から頻繁に出血があったり、吐き気や胸のムカムカに襲われたりと、体調がすぐれない日々。無理をしている自覚はありながらも毎日をやり過ごし、やっとの思いで安定期を迎えました。つわりも落ち着きはじめ、楽しいマタニティライフが待っている!そう思っていたのですが…。
激痛に見舞われたのは得意先の産婦人科だった!
安定期に入ってすぐのある朝、下腹部にズーンと鈍い痛みを感じました。出血はなし。楽観的な私は、「おなかも出てきて、スーツのスカートが窮屈になっているのかな?」くらいに思っていました。また、その日は新人MRに1日同行の予定。車の運転は新人さんがしてくれるし…と、痛みに耐えながら予定どおり出勤。
何軒目かに、長年お世話になっている産婦人科クリニックの院長を訪問。もちろん先生は、私が妊娠中と知っています。アポの時間までは、いつもどおり待合室で営業資料の整理などをしていたら…突然、声も出せないほどの激痛に襲われたのです!おなかに手を当てると、石のようにカチカチに張っている状態でした。
新人MRが異変に気づいてくれて、クリニックの受付へ。するとまもなく院長が登場!いつから痛いのか、どう痛いのかいくつか質問されましたが、ひどい痛みでまともにお返事ができず、何人かに脇を抱えられながらそのまま診察室へ向かいました。
診察室で自身のおなかを見ると、ギューンと張って、まるで子宮が浮き出ているような、そんな見た目だったんです。診察の結果、このまま帰すことはできない状態とのこと。
急きょ、かかりつけの産院に連絡してくださり、そのまま後輩の運転で産院へ向かうことに。車に揺られながら、「痛すぎる…どうしよう…赤ちゃん、どうなっちゃうの!?新人さん、こんなことに巻き込んでしまってごめんよ…」などと、いろいろ考えたのをよく覚えています。
診断結果は切迫早産!そのまま入院に…
かかりつけの産院に到着し、すぐにエコーや子宮の収縮を確認する装置で検査が行われました。診断は「切迫早産」。子宮頸管長が短く早産のリスクもあり、絶対安静が必要とのことで、即入院となりました。
おなかの張り止めの点滴を受けながら、病室へと案内され、あれよあれよと私の入院生活がスタート。まさか営業のスーツ姿のまま、入院することになるなんて思ってもみませんでした。ここではじめて夫へ連絡。夫は大慌てで仕事を切り上げ、パジャマや日用品などを持って、病院に駆けつけてくれました。
主治医から言い渡されたことは、安静に過ごすこと。トイレに行くときはナースコールで看護師さんを呼ぶこと。たとえ仕事でもパソコン禁止!そして一番恐怖だったのは、入院期間は未定と言われたこと。
いつ治るかわからない、もしかすると出産まで入院になる可能性もあるとのことで、頭は真っ白に…。
1ヶ月の入院生活は自分の体と向き合う時間だった
その後、指示されたとおりに仕事は一切せず、日々ベッドの上で安静に過ごしました。最初の2週間は張り止めの点滴を入れながらの生活。副作用の動悸はつらかったですが、おなかの張りは徐々に落ち着いていきました。
その後、点滴から飲み薬に切り替わり、入院から1ヶ月後に退院できました。突然の入院となり、戸惑いや焦りもありましたが、完全に仕事を遮断されたことで、おなかの赤ちゃん、自分の体にじっくりと向き合う貴重な時間をいただけたと思っています。
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