妊娠中に起きやすいさまざまなトラブル。今回は「出血」についてのお話です。生理があるわけがない妊娠中に、もし突然出血したら…。目で見てすぐにわかるだけに、不安もつのりますよね。そんなときどうしたらいい?の疑問に、産婦人科医の天神尚子先生がお答えします。
妊娠中に「出血」したらどう対処すればいい?
妊娠中に出血があったら、どんな場合でもSOSサインととらえてください。ただし、すぐに病院に駆けつけなければならないケースはほとんどありません。まずは、落ち着いて産院に連絡をしましょう。
Q.【先輩ママアンケート】妊娠中に出血トラブルで受診した(またはしようと思った)ことがある?
妊娠3ヶ月ごろに受診を考えたという先輩ママが約半数、次に多いのは出産目前の10ヶ月。誰でも起こりうる症状なので、あわてずよく観察を。
妊娠時期別、心配な出血の原因って?
●初期「切迫流産」「子宮外妊娠」「子宮がん」などが原因で不正出血の可能性が。切迫流産の場合でも色だけでは自己判断は困難。子宮外妊娠は超音波検査で判別できます。
●中期中期以降は「早産」の心配が。少量の出血があったりおなかの張りが目安に。「※前置胎盤」もこの時期には要注意。痛みはなく無症状なのにいきなり出血があります。
※前置胎盤とは、子宮底にあるべき胎盤が子宮口の全部、または一部をふさいでいる状態をいいます。最初は無痛性の出血が見られることが多いのですが、通常は妊娠20週ぐらいまでに超音波検査で発見され、妊娠中期には診断されます。●後期少量の出血とおなかがかたくなる場合は「※常位胎盤早期剥離」の可能性が。お産が近づくと子宮口が開いたり子宮が収縮することで、いわゆる「おしるし」が出ることも。
※常位胎盤早期剥離とは、赤ちゃんがおなかにいる間に胎盤がはがれてしまうこと。胎盤の一部がはがれることもあれば、完全にはがれる場合もあります。急速に進行し、母子ともに危険な状態になることも少なくなく、緊急帝王切開になるので診断は一刻を争います。記事を読む⇒⇒⇒
【おしるし体験談】色や量、おしるしから出産までの流れを知っておこう!【産婦人科医監修】
出血の色をチェック
□鮮血切迫流・早産やびらん、ポリープの可能性あり。確定はできません。
□粘度のある赤妊娠後期のねっとりとした出血はおしるしの可能性。病院へ連絡を!
□茶色出血してから時間がたつと、茶色っぽくなる。妊娠初期では着床出血の場合も。
もし出血があったら?
血液は時間がたつと形状が変化するため、色より出血の量が多いかどうかが重要。多すぎなければ心配なし。生理の多い日よりも量が多い場合には、迷わずかかりつけ医に相談を。できるだけ早く受診しましょう。
出血の症状別 対処法を産婦人科医がアドバイス
①「痛みも張りもないのに出血」した場合
無痛性の出血を特徴とするのは前置胎盤ですが、通常は妊娠24週までに診断されるので、定期健診に通っていて、医師からとくに何も言われていなければ、その心配はないでしょう。わからない人は医師に相談を。
②「少量の出血」の場合
妊娠12~35週ぐらいまでは、通常出血はあまり見られません。ごく少量の出血で、おなかが強く張るようなことがなければ、緊急を要する状態ではありません。まず横になって安静にしましょう。しかし受診は必要です。時間が間に合うならその日のうちに、夜中の場合は翌日に受診を。
③「びらんやポリープによる出血」の場合
性成熟期の女性に多く見られる子宮腟部びらんや、子宮頸管ポリープがあると、不正出血しやすくなります。この場合、出血に痛みは伴いません。びらんやポリープがある人が出血した場合は、病院に駆けつける前に一度連絡を。
④「生理より多い出血」の場合
もし生理の多い日と同じくらいの出血があったら、迷わず受診しましょう。最もこわいのは妊娠中期以降、痛みを伴わない出血。この場合は前置胎盤の可能性が考えられます。切迫流・早産の兆候でも出血することがあるので、夜中でも受診を。
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