2017年に第一子、21年に第二子・三子となる双子を出産し、22年夏に夫の仕事の関係でロンドンへ移住したフリーアナウンサーの秋元玲奈さん。3人の男の子のママとして、育児に仕事に奮闘中です。
離乳食づくりで気を付けていることって何?日本と違って苦労する部分は?…秋元さんの離乳食事情についてお話をうかがいました。
手を抜けるところは抜くと割り切ってます
長男5歳、双子は1歳。毎日、目まぐるしく時間が過ぎていく感じです。いまはナニー制度(家庭で乳幼児の面倒を見てくれるイギリス発祥の保育サービス)も利用していて“手を抜けるところは抜く”と割り切っています。
離乳食も、長男のときはレトルトなども極力使わないようにして全部手作りで……とがんばっていましたが、いまはこだわっていたら全然回らないので、正直手抜きです(笑)。ただ離乳食を食べてくれなくて苦労した長男とくらべると、双子は食欲旺盛で、離乳食もたくさん食べてくれます。いまは3回食になりました。
なんでも食べてくれる二人ですが、卵に関しては慎重です。長男のときに私の進め方が早すぎたのか、いり卵をあげたら吐いてしまったんです。ゆで卵の黄身を食べさせて、次に白身を食べさせても問題なかったのに……。一時は、はんぺん一口だけで吐いてしまうような状態で、しばらく通院もしていました。
5歳になったいまは、もう生卵も食べられるくらいになったんですが。だから双子も卵はゆっくりですね。長男は野菜をたっぷり入れた1歳から食べられるカレーをよく食べてくれたので、双子も食べられるようになれば、私もラクだし栄養面でも安心できるかなと思っています。
▲この日のメニューは、手づかみ食べがしやすいように作った、鮭とあおさのりのおにぎり、だし煮にんじん、キウイ。二人ともじょうずに食べてくれます。
離乳食食材の鉄板、しらすや鶏ひき肉が手に入らない
ロンドンに移住するにあたって、いちばん心配だったのはやはり食事のことです。一食にたんぱく質、野菜や果物、炭水化物の3種を必ず入れるような離乳食にしていますが、日本で便利だったたんぱく質の食材が手に入らないんです。
たとえば、しらすは塩抜きするだけで使えるすごく便利な食材なのに、どこにも売っていません。鶏ひき肉もスーパーに売っているのは七面鳥のひき肉なので、くさみが気になります。
こちらのスーパーで簡単に手に入るたんぱく質の食材といえば、卵、たら、サーモン。離乳食に使える高野豆腐、納豆などはちょっと高くなりますが日本食品店で買っています。
双子の朝ごはんは、以前は鮭のおかゆなどを作っていましたが、味が薄いからかいやがるようになってしまって。そこでナニーさんが教えてくれたのがイギリスの朝食の定番である、ポリッジというおかゆでした。
ホールグレイン(全粒穀物)のポリッジの粉に粉ミルクを混ぜて、刻んだバナナやいちごなどのフルーツと、たんぱく質としてきな粉を加えるんです。甘みがあるので、子どもたちもお気に入りですし、朝の忙しい時間に混ぜるだけで簡単にできるので、私も大助かり。
昼や夜ごはんの定番メニューは、あんをかけたうどんやごはんです。日本で買った茅乃舎の野菜だしや昆布だしに、高野豆腐などのたんぱく質、にんじんやほうれんそうなどの野菜を入れて、とろみをつけたら完成。
時間があるときに、にんじんやほうれんそう、ブロッコリーやかぼちゃなど野菜をこまかく刻んでだしで煮て、とろみをつけたものを冷凍しています。
イギリスのレトルトパウチの離乳食も利用していたんですが、こちらの健診でナースから「あれはお砂糖が入っているからあまりあげないほうがいい。あれに慣れると子どもは食べなくなる」と言われて、最近はちょっと控えぎみです。
ただ、こちらは赤ちゃんが食べられるお菓子が充実しているんです。7ヶ月ぐらいからスティック菓子のようなものを食べていますが、そのおかげか手づかみ食べがじょうずになりました。
秋元さんのお気に入り離乳食
●メルティ棒(左上)
つかみやすい長さがあって、口に入れるとすぐに溶けるメルティ棒という赤ちゃん向けのお菓子がお気に入りです。薄
味のコーンスナックのような歯ざわりですね。
●ホールグレインのポリッジ(右上)双子の定番朝食は、ホールグレイン( 全粒穀物)のポリッジ(おかゆ)。日によって入れるフルーツを替えています。混ぜるだけなのですぐにできるし、二人とも大好きですね。
●チーズパイ味の離乳食(右下)イギリスはこのチーズパイやパスタ、チキンベジタブルと、離乳食の味が少ないですね。フタがついるから食べ残しても、短時間なら冷蔵保存できます。離乳食でチーズパイって斬新ですよね(笑)。
●ベビー向けヨーグルト(左下)もう1品欲しいなというときに使っているのが、ヨーグルト。日本のプチダノンのような、ベビー向けのヨーグルトです。子どもたちも好きで、すぐに与えられるので便利。
博物館や美術館など子どもが喜ぶ場所が充実!
移住して困っているのは、医療面。こちらに移住してからしばらくは、双子が2週間に1度くらいかぜをひいてたんです。日本ならせきや鼻水が続いたら、病院に行って薬を処方してもらえますよね。でもこちらでは医師がなかなか診てくれません。
まず住んでいるところで、クリニックが決められていて、そこしか行けないんです。そのクリニックに電話で相談すると、ナースから「薬局でこの薬を買ってください」と言われるだけ。あまりにもせきがひどかったときは、頼み込んだらようやく医師が診てくれましたが……。
友だちに相談したら、この国ではそれが当たり前だそうで、その代わりというか、薬局にはあらゆる薬が売っていて、薬剤師さんが相談に乗ってくれる感じです。イギリスは私も幼いころに住んでいたし、先進国ということで安心していたんですが、医療制度に関しては日本とは異なりますね。
子どもにとってよかったと思うのは、博物館や美術館など子どもにフレンドリーな場所が充実していること!必ず子ども用のイベントなどがあって、日本人が考えつかないような遊びに無料で参加できるんです。緑がいっぱいの巨大な公園もあちこちにあって、散歩スポットとしては最高。
▲ロンドン自然史博物館は入場無料で、子どもも大人も楽しめるスポット。恐竜の化石や、動物の標本などさまざまな展示が行われています。お散歩がてら行くことが多いです。▲人気の近代美術館Tate Modern。草間彌生アートに子どもたちもシールを貼れるイベントに参加。子どもの感性を刺激するようなイベントが行われていて、よく利用しています。あとは、教育面もいいですね。イギリスでは小学校で正解があるようなテストはなくて、私がいたころも、自由にお話を考えなさいというようなテストでした。せっかくイギリスにいるので、自分で考える力を育てられるといいなと思っています。
とはいえ、いま、双子に関しては正直そんなことを意識する余裕はなくて(笑)。とにかく家族が笑顔でいられることが最優先!頼るところは頼ろうと割り切って過ごしています。
PROFILEあきもとれな
●1985年東京都出身。父親の仕事の関係で6~9才をロンドン、9~11才をモスクワで過ごす。慶應義塾大学法学部政治学科を卒業後、2008年テレビ東京に入社し、アナウンサーとして、スポーツ番組や経済番組などを担当。21年6月テレビ東京を退社。現在はフリーアナウンサーとして活躍中。
取材・文/加藤夕子(リワークス)
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