最近ママたちの間で注目されている〈夜間断乳〉というワードを聞いたことがありますか?「夜ゆっくり眠れるの?」と思わず飛びつきたくなるママもいるかもしれませんが、そこは要注意。
夜間断乳ができる時期やメリット、注意点などについて、成城木下病院の助産師・宮木優梨絵さんと荒知美さんにお話を伺いました。
〈夜間断乳〉とは?
一般的に、夜寝ている間だけ授乳をやめたり、回数を減らしたりすることを「夜間断乳」と呼ぶことが多いようです。
「夜間断乳」という言葉だけを聞くと、「夜起きなくていいの?」「すごくラクそう!」と思うママもいらっしゃるかもしれません。でも、赤ちゃんは昼間の授乳だけで必要な栄養をまとめてとることはできません。
個人差はありますが、4ヶ月以降になると夜間の睡眠時間が増え、生活リズムがついてくる赤ちゃんが多いと言われています。そして、5ヶ月頃から補完食(離乳食)がスタートしますが、体重増加不良、低血糖、脱水などのリスクから、補完食も開始していない早い時期に夜間断乳をすることがないよう注意していただきたいです。
「夜間断乳」は卒乳や断乳の準備として必要?
多くのママは卒乳断乳の準備として夜間断乳を考えるようですが、卒乳や断乳のために必ず夜間断乳が必要なわけではありません。
そのため、助産師から夜間断乳をすすめることはありませんが、下記のような場合はご相談ください。
●ママの疲労が過度な場合
●ママの体調不良が続いている場合
●ママからの希望があった場合
●そろそろ卒乳を考えている場合
夜間断乳できる時期は?
どの時期から夜間断乳を始めればよいのか、個人差もあるため決まりはありません。
ただ、離乳食開始前の赤ちゃんには、特別な理由がない限り夜間断乳は避けたほうがよいでしょう。下記のポイントをおおよその目安に考えてみてください。
●昼間の授乳と補完食だけで栄養摂取が十分にできるようになっている状態
●補完食が2(できれば~3)回まで進んでいる
●母乳、ミルク以外の水分(お茶やお水など)がとれる
●自然に夜間起きることが減ってきた
夜間断乳のメリットとは?
夜間授乳のメリットは、夜中に起きる必要がないので、ママの寝不足が解消され体が休まることです。また、夜泣きが減り、朝までぐっすり眠る赤ちゃんが多くなるとも言われています。
加えて、卒乳を考えている場合は、卒乳がスムーズになる可能性があることもメリットといえるでしょう。
夜間断乳で注意すべき点は?
時期を急ぐと赤ちゃんが体調を崩してしまったり(体重増加不良、低血糖、脱水など)、結局夜中に泣き止まず授乳を再開することになるなど、ママにも赤ちゃんにもストレスになって終わってしまいます。
また、無理をしないことも大切です。赤ちゃんは適切な時期であれば、断乳して泣くのは2~3日くらい。それ以降も毎晩泣き続けてしまう場合は、その子にとって、まだ夜間授乳が必要なのかもしれません。
ママにとっても無理やり夜間断乳にこだわってしまうと、母乳の詰まりや乳腺炎などのトラブルを起こす原因にも。
母乳をたくさん出すためには「夜間授乳が必要!」といわれるように、プロラクチンという母乳を作り出すホルモンは夜間に多く分泌されています。反対に夜間断乳することは、母乳分泌が減ることになります。
そろそろ卒乳をと考えている時期ならよいですが、まだまだ母乳が必要な時期の赤ちゃんやママにはあまりおすすめできません。
夜間断乳を成功させるコツ
まずは赤ちゃん側の準備が整っているか、しっかり時期を見極めることがいちばん大切だと思います。前述した時期やポイントを目安に進めるようにしましょう。
あとは、日中の活動を増やすことで、赤ちゃんは夜間自然に眠りやすくなります。歩き始めたくらいの時期は、活動も増やしやすくなるのでおすすめです。
それでも夜中に起きてしまう場合は、授乳ではなく、お茶やお水で水分補給をしてあげること。
ママ以外の人に寝かしつけてもらうのもよいと思います。断乳して夜中に泣くのは2~3日程度のことが多いので、ここをなんとか乗り越えればあとは安心でしょう。
助産師からママへメッセージ
断乳や卒乳をスムーズにするために先に「夜間断乳」がマスト!というわけではありません。赤ちゃんの成長具合は個人差があります。2~3日ほどトライしてみて、もし難しいようだったら、無理をせずに様子を見て仕切り直すことも大切です。
ママと赤ちゃん、お互いが夜間断乳にトライする適切な時期を見つけましょう。
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