日本人初の乳幼児睡眠コンサルタントの愛波文さんが、科学的根拠に基づいた睡眠のためのメソッドを紹介する本連載。
今回は「入園など子どもが新しい環境で過ごすことになった」「迷子になってしまった」「友達とケンカをした」「強く親に怒られてギャン泣きした」など、昼間に夜の眠りを妨げそうな「強い刺激」があった日のケアについてご説明します。
次男が頭にケガ!心配で夜中に何度も確認
赤ちゃん・子どもがいると、何が起こるかわからないとつくづく思います。過去にこんな体験がありました。
私がスーパーに行っている間、主人が息子たち2人を公園に連れていってくれたのですが、スーパーの駐車場に着いたとき、主人から「次男の頭から血が…」という電話がかかってきたのです。「病院集合で!」と伝え、ともかく慌てて駐車場を出ました。
話を聞くと、長男が遊んでいたシャベルが手から滑って次男の頭に直撃してしまったとのこと。傷はそこまで深くなかったようでしたが「頭から血」と聞くだけで、実際に見ていなかった私はいろんなことを想像してしまい、涙が止まらず、心臓が飛び出しそうでした。
病院に着いたころには次男も落ち着いていて、そこまで傷が大きくなく浅かったので、「2時間待ってまで診てもらう必要はないよ」と小児科の先生に言われ、そのまま帰宅しました。
しかしその夜、私はどうしても心配になりベビーモニターを見ながら「ちゃんと息をしているかな?」と確認したり、寝返りも少なかったので不安になり、次男のそばまで行って心臓が動いていることを確認したりもしました。
幸いにも大事には至らず、次男もその日はぐっすり眠ってくれましたが、子どもにとって刺激があった日は睡眠に影響があることがあります。
怪我の他には例えば「引っ越しなど新しい環境になった/新しい習い事を始めた/友達とケンカした/保育園や幼稚園の先生が変わった/親に強くしかられてしまった」などです。
そんな些細なことでも寝ぐずりや夜泣きに繋がるの?と思うかもしれませんが、子どもも一人の人間で、自分とは感じ方が違うこともいっぱいあるんだということを理解してあげることも大切です。
子どものショックをやわらげるために…親がしたいこととは?
では、そういうときにどうすれば睡眠になるべく影響がないようにできるのでしょう?必ずしも夜泣きがゼロになるわけではありませんが、できることはたくさんあります。
① いっぱいハグをする
抱きしめる行為をすると親にも子どもにも、幸せホルモンのオキシトシンが多く分泌されるようになったり、不安感やストレスが減少されるといわれています。頻繁なハグは子どもの快眠も含め、脳と心の発達にもとても効果的です。
米カーネギーメロン大学心理学部のシェルドン・コーエン教授の研究チームは、 ハグは風邪や感染症予防にも効果的という研究結果も発表しているほど、ハグには様々な効果があります。「子どもに刺激的なことがあったな」と思う日は、意識的に30秒ほどギューッとハグをしてあげましょう。
ママ・パパだってイライラしたり、叱ってしまったり、泣いてしまうときだってあるはずです。子どもはそんな親の姿を見て混乱してしまうかと思いますが、これは逆に親の感情を伝えるいい機会。
「子どもだからまだわからないでしょ?」と思っても、どうして叱った/怒ったのかを伝え、「理解してくれてありがとう」と感謝し、ギューと抱きしめてあげれば子どもの気持ちも安心します。
ママ・パパ自身が怒ってしまった自分を許してあげるのも大事ですよ。
② Skin to Skinの触れ合い
ハグよりもより効果的なのが素肌どうしでのスキンシップ。赤ちゃんもママ・パパもリラックスできて、幸せホルモンのオキシトシンが分泌されるので心の安定にとても効果的です。
お子さんを裸(おむつをつけたままでもOK)にして、ママ・パパも上半身裸で、肌と肌との触れ合いをしてみてください。ベビーマッサージもとてもよいですね。親子の幸福度が増すと赤ちゃんは安心して寝てくれるようになります。
③ 話を聞いてあげる
会話ができる年齢の子どもの場合は、不安な気持ちをきちんと聞いてあげるのが大切。まだ言葉足らずな分、うまく伝えられないかもしませんが、ママやパパの膝の上に座らせて、何がイヤだったのか、どんな気持ちだったのかを聞いてみましょう。
うまく感情が伝えられないときは、感情が絵で表現されている絵本を見せてあげるのもよいでしょう。我が家は感情表現がうまくできないときには「かお かお どんなかお」という絵本をよく読んでいます。
子どもが素直に気持ちを話してくれたら、ママ・パパは子どもに対して感謝を伝えることも忘れないでくださいね。
④ 褒める
イヤなこと、つらいことを乗り越えられたときや新しい習い事を終えたあとはいっぱい褒めてあげましょう。
「~ちゃんにおもちゃをとられていやだったんだね。でも、それをきちんと“かえして”と言えてえらかったね」など、具体的に褒めてあげるとよいですよ。まだ言葉がわからない子でも、目を見て話してあげるとママ・パパが話していることのなんとなくの意味は案外理解しています。
不安定なことがあると、普段は1人で寝ている子でも「ママ・パパと一緒に寝たい!」と言ってくるときがあるかもしれません。そんなときは快くOKをしてあげて。ただし、癖になってしまう可能性があるので、期限をきちんと設け、子どもの様子を見ながら3~4日以上続けないようにしましょう。
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私自身、子どもたちがちょっと不安定だと感じる日は、膝の上でテレビを一緒に見たり、一緒に踊ったり、いっぱいハグをすることを意識しています。
皆さんも、お子さんが不安定だと思った日には、今回紹介した方法をぜひ試してみてくださいね。
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