陣痛との長い闘いを経て、いよいよ「いきみ」を開始したらゴール目前。最後の力を振り絞って、赤ちゃんが降りてくるのを後押しします。この記事では、スムーズに赤ちゃんを産み出すための、上手ないきみ方をご紹介します。
呼吸をととのえ、陣痛の波に合わせていきんで
妊娠中、ぴったりと閉じていた子宮口は、陣痛が始まる頃には1~2cm開いた状態になります。そこから陣痛を繰り返しながら、少しずつ開いていき、長い時間をかけて10cmになったら、病室から分娩台へ移動。いよいよいきむタイミングです。
このいきむときが一番痛くてつらそうなイメージがあるかもしれませんが、いきみたい感じを我慢したあと「いきんでいい」と言われてからは、かえって力がわいてくるものです。
大切なのはタイミングと力をこめる方向
いきむときは両足を大きく広げ、あごは引いて、おしりと腰は背もたれにぴったりとくっつけます。この時、やみくもにいきむのではなく、子宮収縮に合わせることがとても大事で、陣痛のピークが来た時に力を込めていきみます。いきむ瞬間は息を止めて、ぐっと下腹に力を込めます。
力を込める方向は、赤ちゃんの頭を出口のほうに押し出す感じです。体をよじったり、腰が浮いてしまうと、力の方向がそれてしまい、せっかくいきんでも赤ちゃんをうまく押し出すことができません。
最初はいきむタイミングがわからなくても大丈夫。助産師のリードに合わせればきっとうまくいきます。
分娩台でいきむときのポイント7つ
1 背中をそらせない
頭を起こしておへそを見るイメージで体を丸めます。力の方向がそれてしまうので、のけぞらないで。
2 目を閉じないで
周りが見えないとパニックになりやすいので、痛くてもしっかり目をあけていきみましょう。
3 腹式呼吸をしっかりと
おなかに空気を入れるようにしっかりと深く息を吸い込み、赤ちゃんに酸素を送りましょう。
4 ひざは大きく開く
産道を広くするため、ひざから大きく足を開いて。
5 足は閉じないで踏ん張る
足を踏ん張ることで、下腹部にしっかり力が入ります。
6 グリップをしっかり握る
上半身が逃げないように、分娩台のグリップをぐっと引っ張り上げるように握りましょう。
7 腰をしっかり台につける
腰を背もたれに押し付けるようにすると、いきむ力が逃げません。
いきむ姿勢はいろいろ
上記の写真のように、分娩台に腰かけていきむのが一般的ですが、産院によってスタイルはいろいろです。
ひざ立ち
両ひざを立て、股を広げた体位で出産すると、生まれた直後の赤ちゃんを抱きあげることもできます。夫に抱きつくか、背後からかかえてもらうようにすると安定感があり、精神的にも安心感が。
しゃがむ
太ももでおなかを圧迫するので産み出す力が強く、赤ちゃんが降りてくるのを促進します。足が疲れやすいのと、出てくる勢いが強すぎると会陰裂傷の恐れがあるというデメリットも。
横向きでいきむ
子宮の下にある大動脈が圧迫されにくく、赤ちゃんに酸素が届きやすい側臥位。会陰部の裂傷を防ぎやすく、仰向けより呼吸がラクというメリットも。
赤ちゃんが出る瞬間はもういきまないで
助産師に「もういいきまないでOK」と言われたら、体に入れていた力を抜き、呼吸を止めることなく「ハッハッ」と短く息を吐くようにします。すると間もなく、産道にはさまった大きなものが抜け落ちるような感触とともに、赤ちゃんの頭が出てきます。さらに肩から体にかけてもするりと出て、赤ちゃんの誕生です。
全身が出たあとは数分~30分以内に再び軽い陣痛が起きて(後陣痛)、胎盤が出ます。これでお産は完了です。
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