子どもがネガティブな言葉を発したとき、親はどんな「声かけ」をすればいいのでしょうか?困難に負けない子どもに育てるための声かけの具体的ポイントを、日本ポジティブ教育協会代表理事の足立啓美さんが監修する書籍『子どもの心を強くする すごい声かけ』からご紹介します。
ケガで大好きなスポーツがしばらくできないとき
【NGな声かけ】●「かわいそうに…」
●「ケガじゃしかたないよ、あきらめよう」
【OKな声かけ】●「本当に大変な状況だよね。でも、きっと乗り越えられるよ」
●「こんな治療もあるから受けてみようか」
●「まだ次のチャンスもあるよ」
「希望」を持てる言葉を提示してあげよう
サッカーでレギュラーになれたのに、ケガで試合に出られなくなった。バレエの発表会前に、脚を痛めてしまった。がんばってきたぶん、子どもは深く落ち込み、「もう前と同じようにはできないかもしれない」と思い詰めることさえあるかもしれません。
そんなとき、落ち込んだ気持ちをすくい上げてくれるのが「希望」です。心理学では、希望は感情の一つであり、物事のとらえ方の一つでもあると考えられています。
人が希望を感じられるきっかけとなるのは、「自分の求めるものを認識しており、その目標を達成するためのいくつかの方法を考えることができるとき」と「目標を達成するために動きだす意欲があるとき」です。
この希望が生じるきっかけを、親は声かけでつくってあげるとよいでしょう。
治療法やリハビリなど、再びそのスポーツができるようになるための方法を調べて「ほら、いい治療がいくつかあるよ、やってみよう」と提示してあげるのも一つの方法。「え、ホント?じゃあ治療受けたい」と意欲が湧き出たときに、希望も湧き上がってくるのです。
希望を持てる言葉が「がんばる原動力」になる
同時に、「私はきっとできる」「がんばり続けるぞ」といった意思が原動力になります。
「もうこのスポーツは一生できないんだ」という考えを、「今までとは同じようにはできないかもしれないけど、治療すれば、またできるようになる」というように、希望が持てる言葉がけをしていくことで、動きだす力を育てることができます。
目標に向けたいくつかの実行可能な道筋を生み出すことは、とても重要です。なぜなら、どの道筋がその子にとってベストなのかは、誰にもわからないからです。
人生では、うまくいかないこともありますし、いちばん望んでいたことがかなわないこともあります。それを受け入れることは簡単なことではありませんが、最善の手段が阻止された場合でも、希望を持っている人は、別の有効な道を見つけ出そうとします。
ときに、最善ではなく、次によい選択を選ばざるをえないこともあります。しかし次によい選択があれば、希望につながるのです。ぜひ、こうした困難なシチュエーションに遭遇したときには、希望が持てる道筋を一緒にたくさん考えてあげてください。
そして、一番ではなく「次によい選択」であっても人生を進めることができるという希望を持ち続けることが、レジリエンスの力(逆境や困難に負けない力)につながります。
逆境に負けない力を育てる『子どもの心を強くする すごい声かけ』
『子どもの心を強くする すごい声かけ』1,540円(主婦の友社)
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