【ベビモ】はじめてママ・パパの悩みを解決

検索

menu

カテゴリー一覧

FOLLOW US!

  • LINE
  • Instagram
  • YouTube
  • Tiktok
menu

MENU

会員登録
menu

2022.12.22

ママパパの生活

新事実!不足すると産後うつや育児放棄にもつながる⁉ママも赤ちゃんも毎日摂るべきものとは?

この連載の第1回目で、オメガ3が「妊活」のために必須であることを、また妊娠中にも大切なことを第2回の記事でお伝えしてきましたが、今回は「出産後」においても、オメガ3が重要な役割を持っていることをご紹介していきたいと思います。   

オメガ3は、ママの産後うつや、母性の発動にも大きく関わっており、幸せな育児ライフのため、毎日摂るべき栄養素。また赤ちゃんにとっても、母乳や離乳食からオメガ3をしっかり摂取できることで、すこやかな心身の成長がうながされ、脳内の脂質バランスが整い、行動も精神面も安定しやすくなるそうです。

日本脂質栄養学会 理事長で、オメガ3系脂肪酸に関する脳機能研究の第一人者である麻布大学生命・環境科学部の守口 徹先生にお話を伺いました。

母乳を通じて赤ちゃんを育むオメガ3

「オメガ3は、全身37兆個の細胞ひとつひとつを覆っている細胞膜を作る大切な材料であり、特に赤ちゃんの脳や神経の発達に欠かせない栄養素です。

母乳にはオメガ3のDHA(体内に蓄積されるオメガ3)が含まれており、母体のDHAは赤ちゃんにどんどん供給されます。赤ちゃんの脳は妊娠後期から2歳くらいまでの間に急速に発達するため、供給源である母体自体がオメガ3不足にならないように、妊娠後期〜産後は普段の2倍程度のオメガ3の油を摂る必要があります。

母乳を与えるのが難しい状況の場合は、オメガ3入りの粉ミルクなど活用するのもオススメです。母乳から離乳食へ切り替える時期においても、引き続きオメガ3の油をしっかり摂るように心がけましょう。

母性のスイッチを入れ、産後うつを防ぐ効果も             

「日本では10人に1人のママが”産後うつ”で苦しんでいるという結果が出ており、コロナ禍の影響を受け、さらに増加しているとされる調査結果もあります。

そんな産後うつに関してもオメガ3は大きく関係しています。人間の脳の約65%は油でできており、脳にオメガ3が不足すると、気分の落ち込みや強い不安感など、正常な判断ができなくなることがあります。

胎児や新生児の成長にはDHA(体内に蓄積されるオメガ3)が必要なため、母体や母乳から、優先的に胎児や新生児に供給されることで、妊娠期・授乳期のママはDHA(脳に蓄積されているオメガ3までも)が減ってしまいます。

もともと現代人はオメガ3が不足していることが多いうえに、ママのDHAが急激に減ることで脳の機能が正常に働きにくくなり、ホルモンバランスも崩れ情緒不安定になることで、産後うつを発症しやすくなるのです。


さらに深刻なことは、ママのDHA(脳に蓄積されているオメガ3)が不足すると、『子への関心が低く、母性の発動が遅れる』ことです。

マウス実験ではDHAの蓄積が不足した母親マウスの30~40%が出産後に仔マウスを傷つける行為や育児放棄の現象が見られました。また、オメガ3の摂取不足により『愛情ホルモン』と呼ばれるオキシトシンの細胞への分泌や取り込みが滞ってしまうことも、そういった現象の原因の一つと考えられています。

赤ちゃんができたら自然に湧いてくるものと思われている母性が、オメガ3の不足により育児放棄にまで繋がってしまうリスクがあることは驚くべきことです。

母子にとってオメガ3の摂取は、大事ないのちを守り育むためのとても重要な栄養素。脳がきちんと働くために、オメガ3とオメガ6(多くの加工食品に使われているサラダ油・ごま油等)を日頃から1:2~4のバランスで摂って、脳を常に良い油バランスに保っていることはとても重要です」

キレない子どもに育てるためにもオメガ3を                

最近、キレやすい子どもが増えていると言われています。「魚介類を食べる頻度が減ったことと、コンビニ食・スナック菓子などの過剰摂取により脳内の脂質(油)バランスが悪くなり、オメガ3の摂取量が減っていることが、原因の一つと考えられています。

前回の記事でもお伝えしたとおり、脳にDHA(体内に蓄積されているオメガ3)が足りていない状態では、脳の認知機能の低下から、すぐカッとなる、攻撃性が増す、ネガティブになりやすい、うつ、落ち込みが激しいといったことが起こりやすくなってしまいます。

毎日コツコツ、小さじ1杯のオメガ3の油を摂取していくことで、脳の油は約半年間で入れ替わっていくとされていますので、魚介類を摂る頻度が少ない方は特に、アマニ油・えごま油などを食生活に取り入れてほしいです。
                                       
オメガ3を十分に摂取していると、母乳を作るためにはたらく“プロラクチン”というホルモンや、愛情ホルモン・幸福ホルモンと呼ばれる“オキシトシン”の分泌が促進されることが判っています。また、子どもの社会適応能力や精神安定を施す働きがあるとも言われています。

オメガ3は、血管・脳・細胞など人間の体のもっとも重要な部分をすこやかに保つ働きがあり、老若男女すべての方に必要な油。

生活習慣病、認知症ほかさまざまな健康課題に素晴らしい効果を発揮することが多くの研究で解明されてきており、一生涯にわたりとても大切な働きをしてくれますが、その中でも最もオメガ3を摂るべき時期なのが、妊活中のパパとママ、妊娠中・産後のママと、2歳くらいまでの赤ちゃんです。     
                                    
産後もずっと幸せな気持ちで毎日を送れるように、またお子さんの健やかな成長のため、魚介類を食べない日には毎日“小さじ1杯”のオメガ3の油を摂る習慣を、ぜひ心がけていきましょう」

監修者/守口 徹先生
麻布大学 生命・環境科学部 食品生命科学科 食品栄養学研究室 教授。横浜市立大学卒 国立がんセンター研究所、東京大学 薬学部に研究出向の後、同大学で博士号を取得。 米国国立衛生研究所(NIH)で脂肪酸と脳機能に関して研究。 2008年より現職。 日本脂質栄養学会 理事長。気分障害を中心としたオメガ3系脂肪酸に関する脳機能研究の第一人者。

取材・文/オメガさと子

Baby-mo〈ベビモ〉編集部

「Baby-mo(ベビモ)」は主婦の友社が運営する、妊娠・出産・育児の公式情報サイトです。妊娠期の不安、出産準備、赤ちゃんの成長、離乳食レシピ、産後の悩みまで。はじめてママ・パパに寄り添う情報を提供します。➤ 雑誌の最新号・バックナンバーはこちら 

SHARE

  • facebook
  • Twitter
  • LINE

関連する記事

ランキング