どんな赤ちゃんでも、鼻水は何度か経験するものです。鼻水は、ちょっとした気温の変化で出ることもあれば、かぜの症状であったり、ときには重症化しやすい病気のサインということもあります。鼻水が出たときの吸引方法や注意点を知っておきましょう。
赤ちゃんの鼻水の吸引は必要なの?
赤ちゃんは鼻の穴が小さいうえ、鼻の粘膜が敏感です。そのため、気温の変化など少しのことでも刺激となり、鼻水が出やすいのです。さらに、ウイルスや細菌に感染すると、それらを追い出すための体の防御反応として、鼻水が出てきます。
赤ちゃんの鼻水がひどいと、「何とか早く止めてあげたい」と思うでしょう。でも、ウイルスや細菌に感染したために出る鼻水は防御反応ですから、基本的には薬で止めないほうがいいのです。といっても、苦しそうな赤ちゃんを見ているのはつらいので、鼻水が出ていたらなるべく早くとってあげましょう。
たまったままにしていると、鼻水の中にウイルスや細菌がいた場合に、鼻の奥やのど、耳に侵入し、副鼻腔炎や中耳炎を起こすことがあるからです。ただし、無理にとろうとすると鼻の粘膜を傷つけることがあるので、丁寧に吸い取ってあげるようにしましょう。
赤ちゃんの鼻水の吸引の頻度は?
鼻水が出ているのに気づいたとき吸引すればOK
子どもが自分で鼻をかめるようになるのは、2才ごろからです。それまでは、赤ちゃんがかぜをひくなどで鼻水が出ているのに気づいたら、ママが早めにとってあげましょう。
鼻水を吸引する回数は1日何回とか、何時間おきなどという決まりはありません。回数や時間にこだわらず、鼻水が出ていたらとにかくこまめに吸引しましょう。
赤ちゃんの鼻水吸引をする前に準備することは?
鼻水を吸う前には、何より鼻水が出やすい状態にすることがポイントです。以下のような方法で、鼻の粘膜をうるおわせて鼻水を柔らかくすると、鼻水が吸い取りやすくなります。
・加湿器や洗濯物を干すなどして、室内を加湿する
・温かい蒸しタオルを赤ちゃんの鼻に当てる
・お風呂に入れる
鼻水を取り除くために必要なものは?
家庭で鼻水を吸い取るには、以下のようなものを用意すると手軽に鼻水を取り除くことができます。
綿棒
赤ちゃんの鼻の穴は小さいので、赤ちゃん用綿棒を用意しましょう。綿棒は、鼻の中にあるネバネバした鼻水を取り除くのに適しています。鼻水がサラサラして水っぽく量も多いときは、ガーゼや鼻水吸引器を使うほうが効果的です。
ガーゼ
鼻の下に出ている鼻水をふき取るだけでなく、ママの指に巻きつけ、指先を赤ちゃんの鼻の穴に少し入れるようにして鼻水をぬぐい取るのにも使えます。ただし、ガーゼは意外に肌当たりが強いもの。ガーゼの繊維で皮膚を強くこすらないようにしましょう。
カット綿
鼻水をふきとるのに使います。ぬるま湯にひたして軽くしぼってから使うといいでしょう。
ティッシュ
普通のティッシュで鼻の下をゴシゴシふくと、お肌を傷つけてしまいます。ティッシュは特に柔らかく作られているものを使い、鼻の下に軽く押し当てるようにして鼻水を吸い取らせるようにします。
市販の鼻水吸引器
鼻の奥のほうにたまった鼻水まで、吸い取ることができます。さまざまなタイプがあるので、使いやすく清潔なものを選びましょう。
赤ちゃんの鼻水吸引のやり方は?
くしゃみをさせる方法
ティッシュで細長いこよりを作り、先端を赤ちゃんの鼻の中に少し入れてくしゃみをさせます。くしゃみをする勢いで、鼻の奥にたまっていた鼻水が出てきたら、ガーゼやティッシュでふきとってあげましょう。鼻水吸引器を嫌がる赤ちゃんには、手軽にできる方法です。
綿棒でとる方法
少し粘り気のある鼻水や鼻くそをとるのにおすすめの方法です。片手で赤ちゃんのほっぺに手を添え、もう一方の手で赤ちゃん用綿棒の根元近くを持って、鼻の穴に入れます。鼻の粘膜は傷つきやすいので、綿棒を入れるのは鼻の入り口だけにしましょう。綿棒をゆっくりまわして引き抜くと、手前の鼻水からつながっている奥のほうの鼻水まで、からめとってくれます。
ガーゼやティッシュでふきとる方法
鼻の下に出ているサラサラの鼻水は、赤ちゃんのやわらかいお肌を刺激しないよう、ぬるま湯でしぼったガーゼややわらかいティッシュでこまめにふいてあげましょう。
ただし、ウイルスや細菌が原因で鼻水が出ているようなときは、ガーゼでふくと洗っても残ることがあるので、使い捨てのティッシュでふきとると安心です。
鼻水吸引器を使う方法
鼻水がひどいときには、市販の鼻水吸引器を使って吸ってあげると楽になります。鼻水吸引器には、大きく分けると手動と電動のものがあり、それぞれ使い方によってもいくつかのタイプがあります。ベビー用品店やドラッグストアなどで手軽に手に入るので、見比べてみて使いやすく、清潔にしておけるものを選びましょう。
・スポイトタイプ(手動)
お手頃価格なものが多く、収納ケース付きのものもあり、小さくて持ち運びに便利です。ただ、吸引力が弱めなので、鼻の奥にたまった粘り気のある鼻水を吸い出すことは難しいでしょう。また、鼻水の量が多い場合は一回では取り切れないこともあります。
・ストロータイプ(手動)
ストローの先端部分を赤ちゃんの鼻に入れ、もう一方のストローをママが吸って鼻水を吸い取ります。コンパクトに収納できて持ち運びが便利なうえ、使用後には分解して洗うこともできるので、衛生的で価格もお手頃です。ただ、吸引力はそれほど強くないので、鼻水がたくさん出ているときは、鼻の奥にたまった鼻水をとり切るのは難しいかもしれません。
・ハンディタイプ(電動)
手動のスポイトタイプよりはやや大きめですが、電池式なのでお出かけにも持って行けます。電動のため手動に比べると吸引力も強く、鼻の奥にたまった鼻水もしっかり吸い取ることが可能です。ただ、吸引力は一定で、調節することはできません。
・据え置きタイプ(電動)ほかの吸引器と比べると、吸引力は一番です。粘り気のある鼻水や鼻の奥にたまった鼻水も、短時間できれいに吸い取れます。ただ、サイズが大きく重くて、電源がないと使用できないので、持ち運びには不向きです。使用時に音がするので、赤ちゃんが怖がってしまうこともあります。
赤ちゃんの鼻水吸引は病院に行くべき?
鼻水を取り除くにはさまざまな方法があるので、赤ちゃんの鼻水に気づいたら、まずは上記のような方法で、早めにきれいにしてあげましょう。ただ、赤ちゃんが嫌がって暴れたり、鼻水の量が多くてとりきれない、など、自宅でうまくとれないときは耳鼻科でとってもらうといいでしょう。
鼻水だけで耳鼻科を受診するのは、迷うかもしれませんが、耳鼻科の受診を耳鼻科の専用器具を使えば、鼻の奥にたまった鼻水まで、きれいに吸い取ることができます。赤ちゃんもスッキリして気持ちいいはずですから、鼻水が取り切れないときは、迷ったり遠慮したりせずに耳鼻科へ行きましょう。
最近は小児科でも鼻水吸引をしてもらえるところが多いので、相談してみるとよいでしょう。
赤ちゃんの鼻水吸引を行う時の注意点は?
パパやママが口で吸うのはやめましょう
赤ちゃんの鼻に直接口をつけて、鼻水を吸い取る方法を聞いたことがあるかもしれません。直接なら、吸い方を調節できるのでいいと思いがちです。でも、鼻水の中には、どんなウイルスや細菌が含まれているかわかりません。口で吸うことにより、パパやママにかぜなどの病気がうつることもあるので、やめましょう。
手動の鼻水吸引器を使った場合でもうつる可能性があるので、一度使い終わるごとに、必ず鼻水吸引気を洗浄し、パパやママもうがいと手洗いをすることを忘れずに。
鼻水をふいたら、保湿のケアをしっかり
鼻水が出るたび、ティッシュなどでこするようにしてふき取っていると、鼻の下が真っ赤になりやすいものです。かぶれてしまったときは、肌を刺激しないように、鼻水をぬるま湯でしぼったガーゼなどでそっと押しふきしましょう。そのあとで、必ず保湿クリームなどを塗って皮膚を保護しておくことが大切です。
熱はなくても、鼻水がひどく苦しそうなときは受診を
鼻水が頻繁に出ていたり、鼻の中にたまっていたりすると、赤ちゃんも気持ちが悪いはずです。鼻水がひどくて、おっぱいやミルクが飲みづらいようだったり、苦しくて眠れないようなときや、いつもと比べて元気がないようなときは、熱はなくても早めに小児科で診てもらうと安心です。