「お産はどんなふうに始まるの」「陣痛と気づかなかったらどうしよう」と心配する妊婦さんは多いもの。初めての出産ではわからないことだらけで、不安になるのも当然です。
そこで、お産の始まりとその時の対処法について、総合母子保健センター・愛育病院名誉院長の安達知子先生にうかがいました。
お産のスタートは陣痛か破水のどちらか
子宮口が広がってくると、卵膜がはがれて「おしるし」と言われる出血がある人もいます。ただし、おしるしは「お産が近い証拠」ではありますが、1週間以上経ってようやく陣痛が来ることも。また、おしるしがない人もいますので、お産のスタートサインとは言えません。ただ、出血があったら病院には連絡を入れましょう。
お産は規則的なお腹の張り・痛み、もしくは破水から始まります。初めて出産する妊婦さんからよく聞かれるのが「陣痛と気づかなかったらどうしよう」という声。でも、気づかないような痛みのうちは、陣痛ではないので大丈夫。
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「陣痛かも⁉」と思ったらどうする?
1 陣痛の間隔を測ってみましょう
痛みが来た瞬間から、次の痛みまでの間隔を測ります。この間隔が規則的で10分以内になったら、お産スタートです。前駆陣痛のうちは、間隔がバラバラで10分以上です。
2 10分間隔になったら産院に連絡をしましょう
陣痛の間隔や現在の状況を伝えたら、指示に従って入院します。もし余裕があれば以下のようなことをしておくのも良いでしょう。
●ゆっくり入浴(破水していたらNG)
●最後の片づけをする
●消化のいいものを食べておく
●お産の流れをもう一度おさらい
「破水かも⁉」と思ったらどうする?
1 まず自分で手当てを
流れ出る羊水をキャッチするため、夜用など大きくて吸収力のある生理用ナプキンをあてて。ナプキンがない時や、量が多くてナプキンでは間に合わない時は、清潔なハンドタオルなどを使っても。
また、量が多い場合は、体を動かすと羊水がどんどんもれてくるので、移動の時はナプキンに加えてさらにバスタオルを腰に巻いて。
2 産院に連絡をしましょう
破水したら、ともかく産院に連絡を。破水した羊水は、正常の場合は無色透明、もしくは薄いピンクまたは血液が少々混じった状態です。一方、危険なのは緑っぽく濁った色をしているケース。いずれにしても、産院からの指示に従って入院します。
また、破水をした時は以下に気をつけて!
●お風呂に入るのはNG破水で一番怖いのが、赤ちゃんへの細菌感染。入浴すると感染の危険があるので、入浴は厳禁。
●できるだけ歩かない体を動かすとどんどん羊水が出るので、産院へ向かう時もできるだけ歩かないこと。たとえ産院が近くても、車で横になって移動しましょう。
お産の始まり、こんな時どうする?
お産はいつどんな状況の時に始まるか、わかりません。いざという時にどうするか、あらかじめ想定しておきましょう。
ひとりで外出中
病院に連絡して、直行するか、一度帰宅するか判断してもらいます。その後、家族に連絡して移動を。
夜中
お産は夜中や明け方に始まることが多いもの。まず病院に連絡をしましょう。「陣痛タクシー」など夜中でも手配できるタクシーなどをあらかじめ調べておくと安心です。
一人で自宅にいる時
病院に電話をして入院が決まったら、家族に連絡をとり、落ち着いて移動を。タクシーをすぐ呼べるように準備をしておきたいですね。出発前に火の始末、戸締りを忘れずに。
救急車を呼んでもいいケースって?
まずは出産予定の病院に連絡して、痛み・出血の様子などを伝えて相談を。自己判断で救急車を呼ぶのはNGです。
【ケース1】陣痛の休みがない
ごく強い陣痛が間隔を置かずに続いたり、出血している場合は、常位胎盤早期剥離の可能性が。胎盤がはがれるということは赤ちゃんに酸素が届かなくなることなので、非常に危険です。病院に連絡して一刻も早く入院を。
【ケース2】大出血している
原因がわからなくても、出血が止まらない場合や大量出血、痛みを伴う出血は緊急事態。救急車での搬送ということになるでしょう。ただ、「おしるし」の量が多い場合もあるので、まずは病院に連絡を。
【ケース3】前置胎盤と診断されたことがある
胎盤が子宮口にかかっている状態なので、子宮口が開いて胎盤がはがれると大出血して非常に危険。予定帝王切開の前に陣痛、破水が起こった場合は救急車での搬送も。
陣痛を乗り切る呼吸法。基本は「吐くこと」
だんだん強くなる陣痛を乗り切っていく方法はいろいろありますが、一番基本になるのは呼吸です。体は、息を吐く時にリラックスしてゆるみます。リラックスすると子宮口も開きやすくなり、お産も順調に進みます。
また、体が緊張して力が入っていると、痛みによけいに敏感になるので、陣痛がきたら息を吐くことに集中するとよいでしょう。
呼吸は、吐くと自然に次は吸うことになります。赤ちゃんに新鮮な酸素を送るというと、吸うほうが大事なように思えますが、しっかり息を吐き出すほうが呼吸が深くなり、吸える酸素量も豊富になるのです。このことを覚えておくと、陣痛がピークになった時も、呼吸が浅くなって起こる過呼吸も防ぐことができます。
上手な呼吸のコツ
1 長くゆっくりと息を吐き出すなるべく背筋を伸ばして、ろっ骨を閉じるイメージで、肺の中の空気をすべて吐き出すようにします。一気に吐かず、ゆっくり「ふー」と言いながら。
2 お腹に力を入れないお腹に力を入れると筋肉が緊張してリラックス状態から遠ざかってしまいます。ろっ骨を広げたり閉じたりするイメージで。
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