自分にはできないことが多い、生きづらい…。でも、母の言葉で気づけた大切なこと
「もちろん、これまでの人生の中で“生きづらいな…”と思ったことはあります。
今でも思い出すのが幼稚園の頃。私は幼稚園に通う前は障がい者の通所施設に通っていました。そこでは重度の障がい者の方々と色々なアクティビティを通して過ごすのですが、そこの施設の先生が私の母に、『この子は一般的な幼稚園に行ったほうがいい』と声をかけてくれて。
その施設からも初めてのケースだったので、私が通える幼稚園を先生も一緒に探してくれて、でも5~6園に断られました。私が遊んでいる横で親と幼稚園の先生が話をしていて入園を断られているシーンが頭の中に映像としての残っています。
そんなこともあって、小中学校くらいまでは生きづらいと感じたことは何度かありましたね」
―――家族以外の人との関わりが多くなってくる時期になると、今まで経験したことがないことに悩むこともありそうですね。
「そうですね。小学生のときに学校で有志のポートボール大会があり、それに出たくて母に申込用紙を見せたんです。そうしたら母が、先生に聞いた?って言ったんです。そこで、なんで?とたずねたら、『あんたが出ていいかわからへんやん』という言葉が返ってきたんです。
まさか母からそんなことを言われるなんて、やればいいやんって言われると思っていたので、意外な言葉にトイレで泣いた記憶があります。そこで、私にはやっぱりできひんことがあるんや…って落ち込みました。
でもそれは、母が障がいを持つ私に“そういう現実”を教えてくれたんだと思ったんです。
そのあと、まず先生にポートボール大会に参加していいかを聞いておいでと言われました。早速学校で聞いてみたら、先生は、うーんちょっと難しいかな…という返事。私はそのときに社会を知った気がします。でも、そういうことも知っておかないと、私がこのまま能天気に生きていたらきっといつか壁にぶつかると思ったんじゃないですかね、母は。
そこからは、自分ができること・できないこと、やりたいこと・やりたくないことがはっきり分かれている気がします。やりたいんだけどやれないのかもしれない、やりたいけど工夫したらできるかもしれない、ということが小学生中学生くらいでわかるように、考えるようになってきました」
―――友達関係の中で悩んだことなどはありますか?
「私は中学2年生のときに転校したのですが、そこで分かってもらえないことがけっこう多くて最初はすごく悩みました。
基本的に私は人見知りで自分からは話しかけられない性格なので、ある日家に帰って母に、クラスメイトが自分のことをわかってくれないって言ったら、あんたはみんなのことをわかってるんか?って言われたんです。
自分の我を通そうとしてたけど『まずは恵理がみんなのことをわかって、そこで仲良くなれるんだよ』と教えてもらって、次の日からみんなの話しをとにかく聞く!ということをを心がけました」