【ベビモ】はじめてママ・パパの悩みを解決

検索

menu

カテゴリー一覧

FOLLOW US!

  • LINE
  • Instagram
  • YouTube
  • Tiktok
menu

MENU

会員登録
menu

2023.03.27

妊娠出産体験談・インタビュー

同性が好き…。はじめての恋人とカミングアウト!REYANの告白|『虹色の未来』#2



中学に上がると隣の席に座った静かな男の子に恋をしました。身長が私よりも低かったしイケメンではなかったけれど、人に対して誠実で紳士的な彼の内面に惹かれたんです。

この気持ちを伝えようと、 バレンタインにへたくそなマフィンを焼いて、手紙を添えて告白しました。彼は真面目に返事を書いてくれましたが、気持ちはすごい嬉しいけど残念ながら答えられないという内容で……。

でも分け隔てなく誰にでも優しいところや人の悪口を言わない彼のことが、ずっと好きでした。めげずに毎年毎年、バレンタインになるとマフィンを焼いては呼び出していましたね。

そんな中学生時代でしたが、女の子の集団で騒ぐのも楽しくて、とにかくたくさんの友達とつるんでいました。彼女たちとはときどきサイゼリアでご飯を食べたり、お泊まりをしたり。映画に行くのがなにより好きで、英検や映画について飽きることなくおしゃべりしてました。

私がたくさん観た映画の中でもっとも影響を受けた映画が『glee/グリー』です。そこでは男性同士が手をつないでデートを楽しんだり、女性同士が幸せそうに愛し合っている姿がいきいきと描かれていたのです。

シーツを体に巻きつけて抱き合って眠る女性たちはとても大人で格好よくて、思わず息が止まりました。枕に広がった長い髪、重なるシルエット。口移しで飲むお水。私もこんなふうに誰かと過ごせたら、どんなに幸せでしょう……。北関東の田舎で育った私の目には、見るものすべてが都会的で、新鮮で眩しかった。

そしてこのころ、なんとなく気づいてしまったんです。私、女の子も好きかもしれない、と。

きっかけは、ある夢でした。ソフトテニス部の女の先輩と、キスする夢をみたんです。その先輩と付き合いたいと思ったことはなかったけど、その夢はめちゃめちゃリアルで、甘い衝撃でした。

しかも、そのキスをする夢は、人がかわって何度も何度も見たんです。いろんな女の人が出て来て私を抱きしめます。私は戸惑いましたが、夢を止めることは出来ませんでした。

これまで同性と愛し合うなんて映画の中だけの絵空事だと思っていたのに、何度も夢で見るうちに、自分はこうなることを望んでいるのでは?と気づいたんです。思い返すとその頃から私は、相手の性別に関係なく「そのとき好きになった人が好き」というパンセクシュアルでした。

※パンセクシュアルとは『全性愛者』を意味し、男性・女性の分類に限らずすべての性の人を恋愛対象とするセクシュアリティを指します。 人を好きになる条件に性別は関係なく、すべての人を好きになる可能性があります。


あるとき、話が合う友達に思い切って、自分はたぶん男の子も女の子も好きだと打ち明けてみたんです。彼女はちょっと驚いた顔をしてしばらく黙っていたのですが、なんとこう言うではありませんか。

「……同じだね。私もだよ」

その言葉を聞いた瞬間、背中が痺れて熱くなりました。稲妻が走るみたいに……。

変な夢を見る私っておかしいのかもしれないと不安になることもあったけど、身近に同じことを考えている友達がいる。共感してくれる人が現実にいることで、私はおかしくないし存在してもいいんだと思えました。

高校生になると、私は学業も頑張っていましたがアルバイト中心の生活でした。女同士は、仲のいい時もあれば悪いときもあって、疲れる部分が多少ありますよね。

誰々がこんなこと言ってたよ、生意気じゃない?とか、あいつ、ちょっと変だしハブる?とか……。

いじめまではいかないけど、女子同士のグループ間のいざこざに心を削られていました。周りの目が気になりすぎて、仲間外れにされないよう気を遣っていたら疲れてしまって、違う世界にも身を置きたかったんです。

バイト先には面倒くさい人間関係が一切ありませんでした。大人は話を聞いてくれるし対等に扱ってくれるし、理解はあるし……。とにかく、大人って最高だと思いました。

そして同じバイトをしている大学2年生の男性に恋をしました。だけど告白する前に「俺、れいちゃんのことそういう風に見れないからね」と言われてしまった。あんまりですよね、好きだって意思表示すらしてなかったのに。

気持ちがダダ漏れで、先にガードされちゃったんですね、きっと。私、よく言われるんですけど、ちょっと「重い」ようなんです。

その一方、バイト先のバリキャリ社員の女の人とキスをしたり、抱き合う夢を見ていました。甘い気持ちと軽い自己嫌悪、そして戸惑いとまばゆいときめきに揺れました。

(またこんな夢を見てしまった。男の人とする夢は見ないのに)

現実にそんなことができるとはとても思えなかったので、これは思春期によくある性的願望なんだと自分に言い聞かせていました。好きなアイドルを見て恋焦がれてる人と同じで、夢は叶わない、って。

次ページ > ▶▶▶はじめての恋人は…

【文】 藤原 亜姫

2008年ケータイ小説史上、空前のアクセス数を誇った『インザクローゼット blog中毒』(河出書房新社)で作家デビュー。他著書には『夜が明けたら 蒼井そら』、『東京整形白書』などがある。人間の弱みや闇を独自の視点で痛快な物語に変える作家。

SHARE

  • facebook
  • Twitter
  • LINE

関連する記事

ランキング