この記事は、新生児の目についてまとめたものです。生まれて間もない赤ちゃんは、体のさまざまな機能が未熟です。目の見え方も大人とは違います。新生児の目について気になること、心配なことを専門家に伺いました。
新生児の目とは大人とどう違う?
新生児とは、母子保健法で生後28日までの赤ちゃんと定められています。ここでは厳密に区切るのではなく、生後1ヶ月ごろまでと考えてください。
人間の赤ちゃんは未成熟の状態で生まれてくる、という話を聞いたことがあるでしょうか。たとえば、牛や馬の赤ちゃんは生後1~2時間で立ち上がりますが、人間が自分の足で立てるようになるのは1歳近く。このような目に見えることだけではなく、内臓や神経なども、大人と同じように働くようになるには時間がかかります。
目の機能も、驚くほど未熟です。
新生児の目はまだまだ発達途中。大人のようには見えていません。
新生児と成人の目との違い
新生児の目は、大人にくらべてどのくらい未熟なのでしょうか。いくつかの項目を解説しましょう。
視力/たいへん弱い
数値で表すことは難しいのですが、視力のイメージは周囲のものがボンヤリ映っている程度。あまりはっきりとは見えていません。
色を見極める力/黒と白の違いがわかる程度
赤や黄色などのはっきりした原色がわかってくるのは生後3ヶ月ぐらいから。明るい・暗いの区別はついています。
視野/狭い
新生児の視野を測定できたことはないので正確なことはわかりませんが、6歳でも大人の6割程度の視野だとされています。
眼球の大きさ/大人の3分の2ぐらいの大きさ
背が伸びるのと同じように、眼球も成長につれて大きくなります。
両眼視(立体視)/できない
両眼視(立体視)が育ってくるのは、生後6ヶ月~1歳半です。
[両眼視とは?]
右目と左目で同時に見ることを両眼視といいます。この機能があることで、ものを立体的にとらえ、奥行きを感じることができます。両眼視を獲得する生後6ヶ月~1歳半に斜視、視力の左右差、先天的な目の病気などがあると、両眼視が発達しません。実は両眼視ができない人は、意外といるんですよ。
両眼視ができないと世界が平面に見えるの? と思うかもしれませんが、そうではありません。片目をふさいでものを見てみると、両眼視ができない状態を体験できます。
片目で見たからといって、ものが平面に見えるわけではありません。でも、ものの奥行きや距離感が、両目で見たときとは違いますね。日常生活に大きな支障があるわけではありませんが、ちょっとした段差でつまずきがちだったり、ものにぶつかりやすかったりすることはあるかもしれません。3D映画やVR画像を楽しむのも難しいでしょう。
新生児の目に映るのは、ぼんやりとした白黒の世界。赤や黄色などのはっきりとした原色を見分けられるようになるのは3ヶ月になるころです。
新生児の目の動き
このように、大人にくらべて目の機能がまだ整っていないのが新生児です。ですから、目をキョロキョロさせたり、時々焦点が定まらない感じでボーッと見ていたりするのは、ごく自然なこと。ついこの間までは、暗く温かいママのおなかの中で過ごしていたのです。急にいろいろなものが視界に入ってくる外の世界に出てきて、まだ戸惑っているんですね。
新生児の目の焦点が合わないときの対策は?
新生児は目の焦点が合わなくても不自然ではないので、対策をとる必要はありません。特別なものを見せることが目の発達を促すということも、まずありません。
視力が弱いので、赤ちゃんに話しかけるときはできるだけ顔を近づけ、やさしく声をかけてあげるといいですね。ママの顔は生後1~2ヶ月で認識する、という研究結果もありますよ。
新生児の目の焦点が合わないのは、ごく自然なこと。ひとつのものにじっと視点を当てて見られるようになるのは、生後2ヶ月を過ぎるころです。
新生児の目の焦点が合わない 病気が原因のことはある?
なにか一つのものをじっと見つめる固視(こし)ができるようになるのは、生後2ヶ月過ぎ。ほとんど見えていない新生児期には、目がキョロキョロして遊んでいるようにも見えるでしょうが、心配ありません。
ただし、ひとつ注意してほしいものがあります。それが斜視です。
新生児の斜視はできるだけ早く病院へ
斜視とは、どちらか片方の黒目が正面を向かず、外側、内側、上下などの違う方向に向いている状態です。違う方向を向くのは必ず片方の目で、両目が同じように内側に寄ることはありません。
斜視(内斜視)の例。向かって右側の黒目が内側(鼻側)に寄っています。
斜視が現れてくる時期はさまざまですが、「先天性内斜視(乳児内斜視)」の場合は、生後6ヶ月以内に症状が現れます。赤ちゃんの黒目のどちらかが内側(鼻側)に寄っているように見えたら要注意です。
先天性内斜視(乳児内斜視)を放置しておくと両眼視が発達しなくなるので、なるべく早く外科手術を行います。気になる時は、早めに眼科専門医を受診しましょう。
新生児けいれん、てんかん、先天眼振は?
新生児けいれんは生後まもない赤ちゃんに見られるもので、その中の一部の赤ちゃんはてんかんに移行します。これらは早期の治療が必要です。目だけではなくいろいろな症状が出てくるので、おかしいと感じたら早めに小児科医に相談しましょう。
眼振(がんしん)とは、眼球がけいれんするように揺れたり動いたりする状態のこと。目の動きをコントロールする神経の異常などにより、赤ちゃんの時期からあらわれるものを先天眼振(せんてんがんしん)といいます。先天眼振は、生後3~4ヶ月になるとはっきりしてきます。新生児の時期は、ただ目が揺れて見えているだけかもしれません。
目の焦点が合わないだけで、ほかにこれといって気になる点が見られないなら、こうした病気を心配する必要はないでしょう。ただ、生後3~4ヶ月になっても視線が合わない、焦点が合わずにボーッとする、などは要注意です。脳や神経の病気が隠れている可能性もあるので、かかりつけ医に相談してください。
新生児の目の焦点が合わない 病院へ行くべきケースは?
一刻を争うので救急車で病院へ! というものはありませんが、できるだけ早く受診した方がいい場合がいくつかあります。
黒目の色や大きさで注意したい4つの症状
・黒目が白っぽい・黒目が光って見える・黒目の大きさが左右で違う・フラッシュ撮影すると片目だけが真っ白に見える先天性緑内障、先天性白内障、網膜芽細胞腫(もうまくがさいぼうしゅ・目にできるガンの一種)などの可能性があります。できるだけ早い対処が必要。場合によっては失明や命の危険につながります。健診で見つかることも多いので、1ヶ月健診は必ず受けましょう。
片方の黒目が内側に寄る
これは、先述した先天性内斜視(乳児内斜視)の疑いがあります。
先天性内斜視(乳児内斜視)は、生後6ヶ月以内に症状が出ます。左右どちらかの黒目が内側(鼻側)に寄って見えるのが特徴。早期の手術で治療します。
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