妊娠検査薬では「陽性」でも注意したいケース
下記のような病気やトラブルの場合でも、妊娠検査薬で「陽性」と出ることがあります。
異所性妊娠(子宮外妊娠)の場合
「異所性妊娠」とは、卵管をはじめとした子宮内膜以外の場所に着床した状態です。
着床しているため「hCG」の分泌が増え、妊娠検査薬では「陽性」と判定されますが、正常妊娠ではないため、放っておくと大量出血を起こし、命にかかわることもあります。
そのため「陽性」であったとしても医療機関を受診し、子宮内に胎嚢(赤ちゃんが入っている袋)が見えるかを確認してもらいましょう。
測定が早すぎると妊娠検査薬で「妊娠反応なし」と出ることもあるので、予定日を1週間すぎても生理が来ない場合は、再検査をしてください。
胞状奇胎の場合
受精卵の染色体異常などが原因で、受精卵から胎盤のもととなる「絨毛組織」が正常に発育せず、絨毛が水ぶくれの状態(嚢胞化)になるものです。
場合によっては、「絨毛癌」という悪性腫瘍になる場合もあります。
エコーで子宮内の様子を確認することでこの病気かどうか確認することができます。
また、正常妊娠の場合、妊娠8~12週でピークに達し、その後hCG量は減っていく傾向にありますが、「胞状奇胎」の場合は正常妊娠に比べてhCG量が高値を示すので、血中のhCG量を測定することで診断される場合があります。
妊娠初期の流産の場合
妊娠初期の流産にはさまざまな種類があります。
【化学流産の場合】化学流産とは、妊娠超初期に起こる流産です。
生化学的に「hCG」が上昇して妊娠反応「陽性」となったものの、エコーでは胎嚢が確認されず、その後、生理のような出血が来る場合をさします。
【稽留流産の場合】稽留流産は、出血や腹痛の症状はないのに子宮内で胎児が死亡してしまい、そのまま子宮内にとどまっている状態です。
通常の妊娠と同じく「hCG」がある程度までは一定量分泌され続けるため、妊娠検査薬では「陽性」となりますが、医療機関を受診し、エコーで発育が停止している場合は、「稽留流産」と診断されます。
子宮内にとどまったままでは次の妊娠ができないため、子宮内容除去手術(子宮内掻把手術)が必要です。
【進行流産】進行流産は、すでに発育が停止した胎児や胎盤などを体外に排出しようと、出血や強いおなかの痛みがみられます。妊娠継続はできませんが「hCG」が一定量分泌されているので、妊娠検査薬では「陽性」となる場合があります。
【切迫流産】流産しかかっている状態をさす切迫流産の場合も、「hCG」が出ているため、妊娠検査薬では「陽性」になります。切迫流産の場合は、その後の経過によって妊娠継続の可否が決まります。
hCGが入った注射をした場合
「hCG」が入った注射の接種も妊娠検査薬で陽性と出る場合があるので、注意をしましょう。
*「閉経期」や「高度の糖尿、蛋白尿、血尿」などの場合も妊娠検査薬で「陽性」になるケースがあると言われていますが、実際は「陽性」にはならないでしょう。
記事を読む⇒⇒⇒妊娠検査薬で陽性反応でも生理に!妊娠は間違い?陰性に変わることも?
初診のタイミング
生理予定日1週間後から検査可能な妊娠検査薬を使って「陽性」と出た場合は、検査後できるだけ早めに病院を受診しましょう。
検査をした時点で妊娠5~6週となり、赤ちゃんが入っている胎嚢や子宮の様子、正常な妊娠かを判断することができます。
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妊娠検査薬はあくまでも補助的に使うものです。「陰性」と出ても妊娠している可能性もありますし、「陽性」と出た場合でも、正常な妊娠ではないケースもあります。できるだけ早めに医療機関を受診し、確定診断をしてもらいましょう。
また、陰性の場合は数日空けてから再検査を。再度陰性にもかかわらず生理が来ない場合は、何らかのトラブルの可能性があるので、医療機関で診察を受けてくださいね! (大山 香先生)