「安全に出産して、ハッピーに子育てしたい」と願わない妊婦さんはいません。しかし出産時のトラブルや、妊娠中から産後にかけての「うつ」は増加傾向にあるともいわれています。その原因の一つが食事。「もっとたんぱく質をとろう!」と訴える宗田哲男医師に教えてもらいました。
現代女性たちに蔓延する「新型栄養失調」って?
出産時の帝王切開率が年々増加していることはご存じでしょうか。
1990年に11.4%だった帝王切開率は、2017年になると25.8%にまで上昇しています。4人に1人の赤ちゃんが帝王切開で生まれてくるということです。
その理由はさまざまですが、私はその背景に、現代型の栄養失調があると考えています。昔のように食事の量の不足による栄養失調ではなく、栄養バランスが崩れたせいで起こる栄養失調です。
特徴は
・糖質(炭水化物)が多すぎること
・たんぱく質や鉄が極端に不足していること
これは「新型栄養失調」とも呼ばれています。
新型栄養失調に陥る人の傾向は?
新型栄養失調に陥る人は、共通して以下のような考えを持っています。
・低脂肪で低カロリーがよい食事
・動物性の脂肪は控えるべき
・野菜をたっぷりとるべき
・肉より大豆などをとるほうがヘルシー
皆さんもそう考えているのではないでしょうか。
このような間違った健康志向を持つと、必然的に肉を食べなくなります。その結果、現在の日本人のたんぱく質の摂取量は、1950年代と同じくらいにまで落ち込んできてしまっているのです。
増えているのが、甘いお菓子やパン、そして清涼飲料水です。これらをとるとカロリーオーバーになるので、そのぶん肉や脂質を減らして(おかずを減らして)カロリーを抑える人も多くいます。
しかも現代人は忙しいので、簡単に食べられるおにぎりやパンなどを好み、たんぱく質離れに拍車がかかります。
鉄を取りたければ、まず肉を食べよう
たんぱく質の不足は、貧血や鉄不足を引き起こします。
「鉄といえば、ひじきやほうれん草に多い」というイメージがありますが、赤身肉や魚の血合いに比べると微々たるものですし、吸収率も悪いです。
とくに妊娠中は、おなかの赤ちゃんに鉄をたくさん供給しなくてはいけませんから、「貧血」と診断されていなくても、体内の貯蔵鉄が枯渇している妊婦さんは非常に多いのです。