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今話題の「STEAM(スティーム)教育」。前回のインタビューに引き続き、STEAM教育の第一人者であり、ジャズピアニスト、数学研究者、メディアアーティストとして多彩な顔を持つ中島さち子さんに、STEAM教育についてお話を伺いました。STEAM教育を学ぶ上で大切なことのひとつに「好き」があるそうで…。
前回のお話⇒⇒⇒「STEAM教育」が子どもたちに与える恩恵。AI時代に必要な2つのチカラとは
日本には謙遜という文化がありますが、親が子どものことを話すときに「うちの子なんてそれほどでも」「私たちの子がまさか」などと言ってしまいがち。
でも、海外だと「うちの子」ではなく「彼女」「彼」と呼び、「彼女はこういうのが好きらしい」と客観的かつ対等に接しているんですよね。
「うちの子なんて」と言われた子どもは、聞いているうちに「そうか、自分はやってもできないんだ」と思い込むようになってしまいます。すると、途中で失敗やつまずいたりしたときに、すぐに諦めてしまう。
私が大好きな「数学」や「音楽」でも、失敗が当たり前というか失敗しても平気なくらいの喜びを知っていないと続けられないなと感じていて。
「数式を周囲より早く正確に解くことができるから」とか「楽器が他の人よりうまいから」という理由だけで数学者や音楽家になろうとする人は、大体うまくいかないことが多く、わからないなりにも「楽しい」「かわいい」「好き」という感覚を持っている研究者や芸術家のほうが人生として「成功」しやすい、というのが実感としてあります。
以前、この話をある人にしたところ「スポーツ選手も同じだよ」と言われたことがありました。私からすると「いやいや運動神経がいいからこそだよね」と思ったのですが、やはり「うまい」だけで続けてきた人は、どこかでポキッと挫折してしまうことがあるそうです。
スランプに陥ったり、アクシデントに見舞われても、「好きだから」「楽しいから」乗り越えられたという人のほうが、結果を残せるのだそうです。
「好き」の背景には、子どもの頃にどれくらい遊んでいたかということが関係していて、例えば勝つためだけとか、コンテストのため、受験のためだけにやってた人は、どこかで指針がなくなった瞬間に苦痛に取って代わってしまいます。
でも、誰かに褒められるわけでもなく、無目的にたくさん走り回ったり、砂場で何か作ったり、森の中に行って何かを探したり、缶蹴りのルールを考えてみたり…子どもの頃にたくさん遊んでいた人のほうが、精神的に強いと思います。
昔は「好きなことは仕事にしないほうがいい」なんて言われていましたけど、今の時代は、「好き」を仕事にした方がいいなと私は思っていて。
好きなことそのものでなくても、好きがたくさんあったり、好きなこととからめられる仕事のほうが、スランプやトラブル、人生の壁にぶつかったとしても、立ち直れる気がしています。
気をつけて欲しいのは「好き」のレベルを他人と比較しないこと。本当は好きだけど、他人に比べたらそうでもないから、と謙虚になりすぎないことです。少しでも心が動いたり、楽しいかもと思ったりしたら、一歩踏み出してみてほしい。
「自分でやる」と決めたことは責任を伴うので、失敗したとしても結構納得がいくものなんですよね。あとは、年齢や性別で職業を選ばないこと。数学者だから男性、ピアニストだから女性、などというわけではないのです。