赤ちゃん時代の便秘、実はていねいなケアが大切だと知っていますか?3日出ないと便秘は習慣化して、ますます出にくくなってしまいます。また、大人になってからもガンコな便秘症になることもあるのです。
では、親としてはどんなことに気をつければいいのでしょう?また、便秘になったらどう対処したらいい?順天堂大学・小児医療センターの清水俊明先生にうかがいました。
3日出なかったら、なんとかして出してあげて!
上はおなかの中の様子の図。ふだんはうんちが直腸に届くと、その刺激で便意をもよおしますが、うんちがたまると直腸はふくらんでしまいます。そこに新たなうんちが下りてくると、刺激をされてもうんちが出にくい状態に。これが「便秘」です。
便秘でいちばん問題になるのが〝習慣化〞。赤ちゃんのうんちが3日出なかったら、直腸にたまったうんちをなんとか出して、ふくらんだ直腸のしまりを回復させてあげることが大切なのです。
不規則な生活や親のストレスも原因に
排便のリズムは毎日の生活リズムに大きく影響されます。早寝早起きはもちろん、食事の時間帯や外遊びの時間を決めるなど、規則正しい生活をするよう心がけましょう。
また、赤ちゃんも周囲のストレスが原因で腸の動きが悪くなり、便秘になることが。親自身がストレスを抱え込まない、不規則な生活をしないよう気をつけることもお忘れなく。
排便のリズムは月齢によって異なります
6ヶ月ごろまでは授乳のたびに、少量ずつうんちをします。平均すると1日3回ぐらいうんちをする子が多く、この時期に1日1回もうんちが出ない場合はちょっと心配。
ただし「ふだんはちゃんと出ていて、1週間のうち1日出ない日があった」という程度なら、問題はありません。排便の回数には個人差がありますが、6カ月以降では離乳食のリズムなどで1〜2日出ないことも。これも「たまにあること」であれば心配ないでしょう。
さらにうんちの回数だけでなく、排便のときの症状もあわせてチェックしましょう。
大まかな「月齢別・排便の目安」
●6ヶ月未満…1日あたり平均3回以上
●6ヶ月~1歳…1日あたり1~3回
※ただし1~2日出ないこともあります。●1~2歳…1日あたり1回というリズムができてくる
こんな症状も便秘かも!
☐おなかが張っている
☐うんちの粘り気がふだんより強い
☐うんちがふだんに比べて酸っぱいニオイ、発酵臭がする
☐排便時に苦しそうで、顔を真っ赤にしたり、泣いてしまう
☐排便時に肛門が切れてしまう
☐食欲がない、吐いてしまう
排便の回数が少なかったり、上記の症状に当てはまる場合は以下の方法にトライしてみて。
対処法①食事で便秘解消
授乳や離乳食をあげるリズムはできていますか?そのほか食べている量が足りているかも体重の増え方でチェック。OK ならば、内容も見直してみましょう。
脂肪分やタンパク質が多すぎたり食物繊維が不足すると、便秘がちになります。おすすめは①「うんちをやわらかくする」②「うんちのかさを増やし、腸を刺激する」③「腸を元気にしてくれる」食材。
この3要素を満たしてくれるのは、バナナ、いちご、りんご、さつまいもです。赤ちゃんの好きなものばかりで食べさせやすいですね。
他にも以下の食材を、毎日の食事に積極的に取り入れてみてください。
●うんちをやわらかくする食材…トマト、みかんなど
●うんちのかさを増やし、腸を刺激する食材…ブロッコリー、オートミール
●腸を元気にしてくれる食材…納豆、オリゴ糖など
ミルクが便秘の原因になることも!
「母乳からミルクに替えたら急に出なくなった」ときは、ミルクアレルギーが原因になっていることも。一度受診しましょう。アレルギーなら専用のミルクに替えて対処します。
一方、「ミルクの銘柄を変えたら便秘になった」というママの声も。メーカーによって、ミルクの成分は微妙に異なります。「すべての子の便秘を解消する」ミルクはありませんが、うんちがやわらかくなったり、出やすくなるなど、その子によって合う銘柄は異なる場合もあるので、他の銘柄に変えてみるのも手です。
対処法➁運動で便秘解消
体を動かすことで、腸の働きがうながされる場合も。マッサージや適度な運動は、自律神経の働きを整える作用もあります。
「のの字マッサージ」で腸をなでなで
手のひら全体で赤ちゃんのおなかにやさしく「の」の字をかくように、時計回りにマッサージ。パパ&ママの手が冷たいとびっくりしてしまうので、温めてから始めましょう。月齢問わず王道の方法です。
「足を前後に1、2」
ねんねの赤ちゃんに。自分で自由に動き回ることのできないねんね期の赤ちゃんは、運動のサポートを。赤ちゃんの両足を持って、前後にゆっくり動かしてあげましょう。
「うつぶせスタイル」でおなかを圧迫
おすわりのころからの対処法です。うつぶせの姿勢にすると、自分の体重で腸が刺激されて、うんちが出やすくなることも。ただし無理のない範囲で試してみて。
※必ずそばで大人が見守ってあげましょう。
3日出なかったら”綿棒浣腸”を
食事や運動を試しても、やっぱり出ないときは、綿棒浣腸で直接肛門を刺激して。「綿棒浣腸はクセになる?」と心配する声もありますが、クセにはならないので大丈夫。便秘を習慣にしないために、ぜひ試してみましょう。
やるタイミングは授乳や離乳食のあと。反射で腸が動きやすいので、おすすめです。
1 ワセリンやクリームを塗る
綿棒の頭(綿球がついているところ)の部分にワセリン、クリーム、オイルなどをつけて、滑りをよくします。
2 綿棒の頭部分のみ肛門の中へ
綿棒の頭の部分のみ、そっと赤ちゃんの肛門の中に差し込みます。足をバタバタしたり動き回るときは、無理じいしないで。赤ちゃん用の綿棒は軸が細いので、大人用の綿棒を使いましょう。また入れる目安は綿の部分が隠れる程度です。
肛門にまっすぐ綿棒を差し入れたら、綿棒の先をやや背中のほうに向けるようにするとスムーズに入ります。
このとき、ただ入れるのではなく、肛門の内側にある神経を、綿棒の側面でそっとこするようにします。神経が刺激されることで「うんちがしたい」という便意が生まれます。
それでもダメなら迷わず病院へ
食事や運動、綿棒浣腸でも出ないときは、小児科へ。きちんとうんちを出して、直腸がふくらまないようにしてあげることが大切です。
便秘が長引けば長引くほど、習慣化した期間が長くなればなるほど、治療にも時間がかかってしまいます。ホームケアをあれこれ試しても3日出ない場合は、早めに受診して、早めの解消を心がけましょう。
便秘になるとうんちがかたくなり、肛門が切れてしまうことがあります。すると「排便」=「痛くていやなもの」と、さらに排便をいやがる原因に。こうした悪循環にならないためにも、便秘は早めに解消して「うんちをしたらすっきり気持ちがいい」という感覚を教えてあげましょう。
またトイレトレーニングがうまくいかないときも、排便をがまんするクセがついてしまうことがあります。無理じいせず、その子のペースで楽しく進められるといいですね。
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