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―――「孤独感」が強くなりすぎると、子どもにどんな影響があるのでしょうか?今年8月に渋谷で起こった母子刺傷事件も「孤独」が原因のひとつだと、元埼玉県警の方がコメントされていたのが印象に残っています。
「本当に痛ましい事件でしたね。子どもが孤独を抱えていると、わかりやすい変化が出てきます。
・元気がない
・挨拶の声が小さくなる
・食欲がなくなる(または偏食になる)
・不眠
・きびきびと行動できなくなる
・成績が急に落ちる
・習い事や学習への意欲がなくなる
このような変化が多面的に出てくるので、親御さんもお子さんの様子を見ているとすぐにわかると思います」
―――では、子どもが孤独を感じているサインが出てきたときに、親はどのように対応したらいいのでしょうか?
「つらい気持ちに寄り添って、話を聴くこと。これに尽きますね。
国立成育医療研究センターの第5回調査では、コロナによって変化したことを聞いたところ、小学4年生以上の約半数は『大人に話しかけにくくなった』と回答しています。
また、同センターの第7回調査では『こどものことをきめるとき、大人たちはこどもの気持ちや考えをよく聞いていると思いますか?』という問いに、小学低学年の 15%、小学高学年の 18%、中高生の 42%が『あまりそう思わない』または『全くそう思わない』と回答しました。
大人は生活に制限があってストレスを抱えていても、それを解消したり軽減したりする力や手段、対処する方法を知っていますが、子どもは大人と比べて圧倒的にその力が限られています。
さらに、子どもは心身ともに健康に成長・発達途上にあり、配慮が必要なのです。このような『子どもが健全に発達・成長する権利を保障する』という視点が、海外に比べて日本の社会は非常に弱いことを、大人である私たちは自覚しなくてはなりません。
さらに幼少の子どもにとっては、自分のつらさを言葉で十分に表現するのは難しいかもしれません。また、思春期にもなれば、親や先生に本音を打ち明けにくい心理も出てくるでしょう。
しかし、本音の部分では、子どもは親や大人に自分の気持ちをわかってほしいと思っているはずです。まずは『どうしたのかな?』としっかりと話を聴き、気持ちに寄り添って、『そうだよね』と共感する。
そして、一緒にどうしたらいいのか、対処のしかたを考える。解消できない悩みや、応えてあげられない希望も少なくないかもしれませんが、わかってくれる大人が身近にいるんだと実感できれば、子どもの心は安定していくはずです」
取材・文/佐藤真紀 ※記事の内容は2022年11月時点のものです