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2023.03.28

妊娠出産体験談・インタビュー

女の子同士で付き合ってます。REYAN初めての彼女|『虹色の未来』#3

最初から読む ▶▶▶~妊娠7ヶ月。私たちが結婚できないのは同性カップルだかららしい~

高校時代に性自認をした私でしたが、実際に女性とつき合ったことはありませんでした。理由は田舎で出会いがなかったのと、人の目が気になりすぎるから。東京へ行ったら女性と恋愛もしたいし、それ以上のこともしてみたい。

夢でしか見たことのないあのドキドキを、この体で体験したかった。もし夢よりも素敵だったら、どうしよう……。

高3の春、AO入試で私は一足早く東京の美容専門学校に合格を決めました。美に関わる仕事をしようと決めたのは、人を綺麗にして自分も綺麗になれるなんて最高だと思ったから。

一日も早く同じ学校に行く子と友達になりたかったので、SNSでそこに進学する予定の子を探して友達になりました。彼女とはたまに東京に出てきて遊んだり、東京のことを教えてもらったり。

これまでの葛藤もあったし、都会での新しい生活に気持ちが高まっていました。何度か遊んで気がゆるみ、なんでも打ち明けられると思った私は、その子にLINEで「れいちゃん彼氏とかいるの?」と聞かれたとき、「私、女の子にも興味あるんだよね」と答えてしまったのです。

とくに口止めはしなかったけど、誰にも言わないと思って信用していました。でも入学後、新しく仲良くなった別の子と遊びにいったときに「れいちゃんは女の子もいけるんでしょ」と訊かれて驚きました。

恥ずかしい。もしかしたらもっと知っている人がいるのかもしれない……。「れいはレズビアンだ」と噂が流れるのが怖かったから、早く彼氏を作らなくてはと思いました。

同時に、人に対するガードがさらに固くなりました。せっかく上京してきたのに、私自身まわりからどう思われてしまうんだろうと不安になりました。

東京だからいろんな性的思考を持った人がいて、こんな自分も受け入れられるかもと思っていたけど甘かった。まだ全然普通のことではなかったです。

それからすぐにSNSで男の子を探し付き合いはじめました。噂で面白おかしくいじられるのを防ぐためのカモフラージュが必要でした。休み時間に彼との写真をみんなに見せました。

「見て見てー!私ね、彼氏できたんだよ!」

「うわ、けっこうイケメンじゃん!カッコいい!いいなー、れいちゃん、どこで知り合ったの?合コン?」

専門学校の生徒はほとんど女子で、みんなの輪から弾かれると居心地が悪くなる。性自認をしていたけれど、その頃の私はレズビアンだと噂されるのが、死ぬほどイヤだった。

当事者以外に自分の性をカミングアウトするのは、慎重にならなければいけません。言わないほうがいいこともたくさんあります。

その当時の彼のことは、正直あまり覚えていません。優しい人だったと思うんですが……。その彼とも長続きはしませんでした。彼は体の関係を求めてくるけど、私はそんなに高まることもなく、そのうち気まずくなってフラれました。

それからのお付き合いも男性と女性は激しくコロコロ入れ替わったんですけど、男性とは大体3ヶ月で別れていました。なので、女の子との恋愛をお話ししますね。

実は上京すると同時に、レズビアンの出会い系アプリに登録しました。彼女を作ることは上京のテーマでもありました。私を愛してくれる女の子と、実際に付き合ってみたい……。

初めてやりとりした女の子は、4歳上のボーイッシュな人でした。アプリで会話して気が合うと思い、LINEを交換して、毎日恋人のようなやり取りが始まったんです。

「おはよう」から「おやすみ」まで、今起きた、とか今日なに食べたとか、一日中LINEしていました。彼女はすごくマメで優しくて、気持ちがどんどん傾いていきました。

(れいちゃんは可愛いね。写真を毎日見てるよ)

(嬉しいな。○○ちゃんもカッコいいね。ドキドキする!)

そして、とうとう「会おうか」と言ってくれて、初デートすることになったのです。女性との初めてのデート、私は緊張しまくりでした。

待ち合わせは池袋のサンシャイン水族館でした。約束した場所に近づくと一目で彼女だ、とわかりました。2人で並んで歩き、空飛ぶペンギンやアシカ、ダイオウグソクムシを見て笑い、コツメカワウソと握手して大はしゃぎでした。

でも、向こうからつなごうと差し出された手を、私は拒んでしまいました。こんな人の目があるところで、いくらボーイッシュとはいっても明らかに女の子と手つなぎして歩くのは恥ずかしいと思ってしまったんです……。

それからカフェで軽く食事して、彼女は駅の改札まで送ってくれました。もう少し話したかったな、と思ったけど笑顔で手を振って別れました。すると、家についたタイミングで電話がかかってきたのです。

「れいちゃん、もう家ついた?」

「うん、今帰ってきたところだよ」

「良かった。今日、ホントに楽しかった。ありがとう」

「うん、ありがとうね」

「……ねえ、れいちゃん」

「なあに?」

「好きだよ」

ついに告白してくれたその瞬間、嬉しくてスマホを落としそうでした。とうとう、私にも彼女ができたのです。そして彼女にとっても、私が初めての彼女でした。

ある週末、木更津のアウトレットへ行こうと誘ってくれたんです。しかもドライブデートです。彼女はうちの近くまで車で迎えにきてくれました。彼女の笑顔が爽やかでまぶしくて、私がシートベルトをうまく締められずに手こずっていると優しくそっと手伝ってくれました。車に乗っているときは、完璧な彼女です。

でも、車から降りてアウトレットを歩いているとき、また手をつなごうと言われて……。もうお付き合いしてるんだし、それを拒むのはどうかなぁと思い、その手をそっと握り返しました。柔らかい手のひら、一緒にいると本当に楽しい。なのに、人の目が気になって気になって仕方なかった。

彼女はボーイッシュだけど背が私よりもずっと低くて、シルエットも明らかに女の子です。そのとき誰に何かを言われたわけでもないのに、私たちがどう見えているのか、周りの視線ばかり気になりました。

嫌だな……誰も見ていないところで早く2人きりになりたいな、って。

次ページ > はじめてのお泊り。女の子同士の初体験…

【文】 藤原 亜姫

2008年ケータイ小説史上、空前のアクセス数を誇った『インザクローゼット blog中毒』(河出書房新社)で作家デビュー。他著書には『夜が明けたら 蒼井そら』、『東京整形白書』などがある。人間の弱みや闇を独自の視点で痛快な物語に変える作家。

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