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2023.03.28

妊娠出産体験談・インタビュー

女の子同士で付き合ってます。REYAN初めての彼女|『虹色の未来』#3



お付き合いして1ヶ月経ったころ、初めて彼女の家に招かれてお泊りすることになりました。とうとうそのときが来たと舞い上がり、私は急いで新しい下着を買いに走りました。

電車で彼女の住む街に向かいながら、今日はキスもするし、きっとそれ以上のこともすると思っただけで心臓が壊れそうでした。

片付いたお部屋で彼女の作った料理を食べて、緊張しながら一緒に洗い物をして。そして別々にお風呂に入って、体の隅々まで丁寧に洗いました。髪を乾かし、ベッドに潜り込んで彼女のことを待ちました。

そして部屋の電気が消されて彼女が私の隣に滑り込んできた瞬間、感動と緊張で、もう泣きそうでした。男の人とベッドに入っても、こんなにときめくことはなかった。でも緊張しすぎて私たちは何もできませんでした。

まだなにもしてくれない……。どうしたらいいんだろう。時間ばかりが過ぎていきます。そのうち彼女はこういいました。

「もう遅いし、そろそろ寝ようか」

驚きました。その日は全部するだろうって期待していたから。でも、こちらからしたいなんて恥ずかしくてとても言い出せなかった。

間もなく彼女はスヤスヤ気持ち良さげな寝息を立て始めましたが、私は一睡もできず朝を迎えました。朝方、別れ際に「なにもしなかったね」と言うと、ためらいがちにキスをしてくれました。女の子との初めてのキスでした。

結局彼女と体の関係になることはなく、終わりが来ました。会えなくて寂しいことを強く責めたりわがままを言ったりして彼女を困らせて、別れることになったんです。私、いつもそうなんです。関係に慣れてくると自分の感情を相手にぶつけてしまう。

彼女が「れいちゃんのこと、もう受け止めきれない」と答えたのが最後のやり取りになってしまいました。

別れた夜は泣きました。それまで男の人と別れても泣いたことなんてなかったのに、涙は後から後から湧いてきて、1人に戻ってしまった寂しさに震えました。立ち直るためには出会いが必要です。すぐに出会い系アプリを再開しました。

次に出会ったのはフェミニン系の、8歳上のお姉さんでした。その人は私が人生で初めて待受けにするくらい、めちゃくちゃに翻弄されて夢中になった人でした。アプリで相手を探すとき、私の希望は「甘えられる人」でした。優しさや愛情をいっぱい与えてほしかった。

(年上の人に甘えたいな……誰か甘えさせてくれる人いませんか?)

(初めまして。私でよければ甘えていいよ)

彼女が初めてのデートに選んでくれたのは、個室居酒屋でした。そこに現れた彼女は黒髪ロングのものすごく可愛い、ギャルっぽいお姉さん。私が失恋の辛さをポツポツしゃべっていると、そっと優しく頭を撫でて抱きしめてくれたんです。

「寂しかったね、よしよし。いい子いい子」

その瞬間、痺れるような幸福感に包まれました。今まで感じたことのない居心地の良さと安心感、柔らかい胸の中。

「大丈夫だよ、れいちゃん。もう寂しくないよ、私がいるから」

もう、彼女にハマっていました。だけど、甘えさせてくれたのは最初だけ。彼女はちゃんと彼氏がいる人だった。クリスマスやバレンタインなどの大切なイベントは彼氏と過ごす人だった。

普段の日もなかなか彼女は捕まりません。LINEしても未読無視を何日もされたり。だから突然「れい、今から会えるよ」と連絡があると、私は授業を抜け出してでも会いに行きました。なのに、私とデートしていても彼氏から連絡が来ると「行かなきゃ。じゃあね、バイバイ」とあっさりそっちに行ってしまう。

クリスマスの夜、「今日は一緒にいられるよ」と言われて喜んでプレゼントを持って夜中に駆けつけたのに、「彼氏から急に連絡きちゃったから行くわ、ごめんねー」と、私があげたプレゼントを持って彼氏とイルミネーションを見に行ってしまう……。すべてがこんな感じでした。

「私だけ愛してとは言わないけど、小さなことでも約束したことは守ってほしい」

「え?優しくしてるじゃない。女の子ではれいが一番大切だよ。でも彼も私にとって大切な存在だから」

彼女は、そのつもりはなかったかもしれないけど、勝手に振り回されて、メンタルがボロボロになりました。道を歩きながら自分が泣いていることに気付いたり、授業が全然頭に入らなくなりました。食欲もなくなり、とうとう学校の友達に、隠していたはずの同性愛の悩みをぶちまけました。

もうバレてもいいと思った。こんなに女性を好きになって辛い思いをしてることを誰かにわかってほしかった。荒れに荒れた私は、ゆきずりの女の子と初体験もこの頃済ませたんですが、相手のことは全然覚えていません。

勢いで知らない女の子とキスをして、そのままホテルに行きました。初めての女の子との体験はワンナイトです。

本当は大好きな彼女とそうしたかったけど、キスや軽いハグしかしてくれなかった。彼女は女の子と付き合った経験がなかったから、どうしたらいいのかわからなかったのかもしれません。

彼女がそんなふうにどっちつかずだったから、自分も彼氏を作ってやろうと思って付き合ったりしました。当てつけのつもりでしたが、彼女は、嫉妬すらしてくれなかった。

どうしてこの人はずっとそばにいてくれないんだろう。いったいなにをすればこの人の気持ちが手に入るんだろう。この人の一番になれるなら「私は女の子のあなたが好き」と世界中に公表してもいいって思った。それくらい大好きだったのに。

その頃遊び始めた2丁目では、セクシュアルマイノリティの友達が何人もできました。彼女たちにこの相手のことを相談すると「そんな人やめときなよ」と言われてしまいました。

彼女とは間もなく終わったのですが、このときの傷は深くて、半年くらい生きるのがとても苦しかった。忘れようとしても、彼女は突然「なにしてるの?」とLINEを送ってきて私の心を掻き乱す……。

その結果、女の子となら別にセックスをしなくても、抱き合っているだけで幸せな気持ちになることに気づきました。行為より、気持ち。

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【文】 藤原 亜姫

2008年ケータイ小説史上、空前のアクセス数を誇った『インザクローゼット blog中毒』(河出書房新社)で作家デビュー。他著書には『夜が明けたら 蒼井そら』、『東京整形白書』などがある。人間の弱みや闇を独自の視点で痛快な物語に変える作家。

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