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「ケンカも大切な経験」。発達脳科学の専門家が語る、思いやりのある子に育てるために親がすべきこと

「ケンカも大切な経験」。発達脳科学の専門家が語る、思いやりのある子に育てるために親がすべきこと

「思いやりのある子になってほしい」「友だちの多い子に」と願う親は多いもの。ではそのために、親は何をすればいいのでしょうか?発達脳科学者の成田奈緒子先生に話を聞きました。

1〜2歳のおもちゃの奪い合いは「あって当然」と見守る

「わが子に、どんな子に育ってほしいですか?」と質問すると、圧倒的に多い答えは「思いやりのある子」「友だちを大切にする子」です。良質な人間関係を築けることは、生きやすさとも直結するからでしょう。

けれど最初にお伝えしたいのは、「幼いうちから良好な人間関係をつくれる子なんていない」ということです。

1~2歳になると、子ども同士の関りが少しずつ始まります。でも、この時期の子どもはみんな「自分のものは自分のもの。他人のものも自分のもの」の、『ドラえもん』に出てくるジャイアン状態。「相手の気持ち」を配慮する力はまだ育っていません。

お友だちをたたいたり、おもちゃを奪ったりすることがあっても、「うちの子は乱暴」「優しさがない」ということではないのです。

この時期、子ども同士で遊ばせる場合は、おもちゃの奪い合いやもめごとは「あって当然」と想定して、そばで見守ることが大人の義務だと思います。

他者の思いを繰り返し伝えていくことが必要

では、「お友だちのおもちゃを奪い取ってしまったら、相手はどんな気持ちになるのだろう」と気がつくのは何歳頃だと思いますか?

それは、4歳以降です。

でも、4歳になれば突然理解できるようになるわけではありません。1〜2歳の頃から「おもちゃを取られたら、タロウくんは悲しいんだよ」や、「たたかれたらママ痛いよ」という他者の思いを、親が繰り返し口にしていくことが必要です。

そのときには理解できなくても、その言葉が脳への刺激となって、いつしか「そういうことか!」と腑に落ちるようになっていくのです。

人間関係が豊かになっていくのは4歳頃から

他人は自分と違う気持ちを持っていると気づく4歳頃から、子ども同士の人間関係は豊かに広がっていきます。仲間遊びができるようになり、もめごとが起きても自分たちで解決しようと努力し始めます。

おもちゃの奪い合いが起きたとき、3歳の子はおもちゃを持って逃げたり、おもちゃを隠したりしますが、5〜6歳になると「私が先に使っていたんだから」とか、「ハナちゃんは何度も使ったけれど、ぼくはまだ1回も使っていない」というように、どちらに権利があるのかを伝えられる子も増えてきます。

トラブルがあるからこそ人間関係の修行ができる

口ゲンカになると、4〜5歳の子は乱暴な言葉で相手を責めることがあります。でも次第に「自分の言った言葉でこの子を傷つけた」ということも理解してきます。

6歳くらいになると、人を傷つける発言に対して、ほかの子たちから非難されることもあります。その中で「こういう言葉を使ってはいけないのだ」と理解するのです。

「ひどいことを言わない」「トラブルを起こさない」ではなく、してしまう中から学ぶのです。その“修行”は、小学生になっても中学生になってもずっと続いていきます。

そのうえで私たちは大人になり、利害関係が対立したときには自分の気持ちを丁寧に伝え、相手の考えも受け止め、話し合い、妥協しつつも前に進んでいくことができるようになるのです。