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2023.04.03

妊娠出産体験談・インタビュー

同性カップル最後の恋。パートナーシップのメリット・デメリット。REYANの告白『虹色の未来』#6

前の話を読む▶▶▶セクシュアリティの自覚。はじめての同性同士のセックス。Uの場合『虹色の未来』#5

運命の出会いは突然でした。ある日、付き合っていた彼女とデートをした帰り道の新宿でUちゃんと出会いました。彼女はUちゃんのことを「私の飲み友達」と紹介してくれました。

会った瞬間、Uちゃんの顔があまりにも綺麗すぎて、私はおかしな態度をとってしまいました。のちにUちゃんに、「初対面の時のれいちゃん、すっごく生意気で感じ悪かったね」とからかわれたくらいです。

あの日は若さゆえの攻撃的な人見知りが発動してしまったのと、少しでも大人に見られたくて気取っていたんです。

Uちゃんの顔は私の大好きなタイプ、くっきりはっきり整った美形。漂う色気とタチっぽい凛としたたたずまい。スタイルも引き締まってすごく綺麗。

そのときに好意はなかったけど、印象に残った人でした。そういうことありませんか?恋人がいても、かっこいい人は、かっこいい。アイドルを身近でみた、そんな感じでした。

しばらく立ち話をしたらUちゃんは不動産の仕事をしているではありませんか。ちょうど私の友人が家を探しているタイミングだったので、当時の彼女にも勧められてUちゃんとLINEの交換をすることになったんです。

その後、Uちゃんと友人をつなげるべく、いろいろとやりとりしていたのですが、私は当時の彼女と別れてしまいました。

おまけに、私が彼女と別れてからしばらくたつと、私の友人はUちゃんに紹介された部屋を家庭の事情でキャンセルすることになってしまいました。そのことを、謝りたくて、お礼をふくめ、「一緒にご飯にいきませんか?」と私からLINEしました。

そして初めて2人きり、居酒屋で会うことになりました。改めて向かい合うと、やっぱり顔が好きすぎてときめきました。お詫びもそこそこに、その日はお互い、いろんなことを語り合いました。彼女は仕事に対する姿勢が真剣でいろいろ夢を語ってくれたんですけど、その姿がものすごく大人でカッコよかった。

あと、私がどんな話題を出してもコミュ力抜群のUちゃんは相槌がうまくて、めちゃめちゃ聞き上手でした。私は気づいたら、誰にも話したことのない生まれ育ちのちょっとつらかった話も自然にしていました。

話題がいつまで経っても尽きなくて、気がついたら居酒屋の閉店の時間になりました。話し足りないな、と思っていたら、Uちゃんから「カラオケいこう」と誘われたんです。そのままタクシーに乗りました。でも、着いたのはカラオケ屋ではなく、Uちゃんの家だったんです。

(ええええっ!いきなり!?イケイケかよ!!!)

私はいきなりの展開に驚きながらも興奮して歓喜です。だって、もともとものすごくタイプだったし、彼女と寝てみたかった。断る理由なんてどこにもありません。大歓迎です。今日、可愛い下着付けてきてよかったと思いました。

でも肝心のUちゃんはかなり酔っ払ってて、家に着くとジャケットだけ脱ぎ捨て、倒れるように横になり、すぐにぐうぐう眠ってしまったんです。

(お前、やらないで寝るのかよ!!!)

私は初めて来た部屋でトイレの場所すらわからない。喉が渇いたけど、キッチンを勝手に使いたくなかったし、もちろん冷蔵庫もあけられない。なにもすることがなくて、私は傍らに座り込み、スマホをいじりながら彼女の無防備で綺麗な寝顔を見ていました。

顔見知り程度の人を部屋に入れるなんて、大丈夫なの?私だったら、こんなにすぐに人を信用したりしない。あなたはきっと、たくさんの人に優しくされて、愛に包まれて大きくなったんだね。

床に積み重ねられた、たくさんの本、部屋の中に漂うUちゃんの匂い。脱ぎっぱなしの靴下と、テーブルの上にはコーヒーのこびりついたマグカップ。

この人、家事苦手なんだなぁ。仕事は完璧そうなのに抜けてるところもあるんだなぁ。なんだか、この人のすべてが愛おしい。スマホのあかりに照らされたUちゃんの寝顔を見つめながらそのまま朝を迎え、幸せな気持ちで学校にいきました。

二度目に会ったときは、確か鍋を食べたんです。Uちゃんは私のことをどう思っているのか、毎日そのことばかりが気になっていました。

私はそれまで派手なギャルっぽい服を着ていたけど、しっとりしたお姉さん系が好きなUちゃんの好みに合わせようと、大嫌いなタートルネックのシックな服を買いました。美容院で髪の色も暗くして、Uちゃんと釣り合うように頑張ったんです。

首が詰まって苦しくて、 鍋の湯気で汗をダラダラかきまくりましたが、私は幸せでした。甲斐甲斐しくアクをすくったり、お皿に料理を取り分けたり。

これで私の好意がUちゃんに伝わるかと思いましたが、その日も盛り上がって、何もなくさよならしたんです。キスもなしです。

調子が狂って焦りました。これまでの恋愛は、わりとこういったあざといアプローチで女性たちとお付き合いしてきました。ですがUちゃんは確実に私に好意があるのに、口説こうとしません。思いはさらにつのっていきました。

Uちゃんは私のこと、いったいどう思ってるんだろう……。ただの友達? 
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【文】 藤原 亜姫

2008年ケータイ小説史上、空前のアクセス数を誇った『インザクローゼット blog中毒』(河出書房新社)で作家デビュー。他著書には『夜が明けたら 蒼井そら』、『東京整形白書』などがある。人間の弱みや闇を独自の視点で痛快な物語に変える作家。

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