子供服を買う際に、かわいいデザインや手頃な値段で選んでいませんか?子供に着せた服のフードやひもが、思わぬ事故につながることもあります。「NACS標準化を考える会」代表の田近秀子さんに教えてもらいました。
約8割の親が「子供服」でヒヤリを経験
東京都商品安全対策協議会が2006年に行ったインターネットアンケートで、1~12才までの子供をもつ親1163人のうち、77%が「着ている衣服が原因で子供がケガをした・危ない目に遭った・ヒヤリとした経験がある」と回答しました。
2015年まで日本には子供服の安全基準がありませんでした
2009年にあるセミナーに参加した際、欧米では子供服に関する安全規格が定められているのに、日本では公的な安全基準が設けられていないことを知り、大変驚きました。
安全対策の先進国のイギリスでは、ファスナーやボタン、リボンについてもこまかい規定があり、特に1才未満の子供服については、窒息や高体温となるリスクを考慮し、フードに通気性のない素材を使わないことなどが推奨されています。
アメリカでは子供が着ていた上着のすそのひもがスクールバスのドアに引っかかり、引きずられて死亡した事件などをきっかけに安全規格を策定。その後、子供の事故が減少したとの報告もあります。
日本でも子供を守るために安全基準が必要だと思い、子供服の安全基準(JIS規格)を作る活動をスタートしました。
ちなみに「JIS規格」とは消費者が安心して製品を利用するための、国内の公的な統一基準です。
販売品の市場調査、服を作る事業者への調査、保育の現場調査など、活動を進め、2015年12月に子供服のひもの安全基準に関する「JIS L4129(よいふく)」が制定されました。
窒息やケガの危険がひそむ、ひもやフードのついた服に注意
具体的にはフードから出ているものなど、頭や首回りからたれ下がっているひも(イラストA)、ワンピースなどで見かける背中で結ぶようなリボン(B)などは、基準ではつけてはいけないとされています。
ホルターネックデザイン(C)も同様です(結びひもでなく、輪になっているタイプであればOK)。
また、チュニックやロングパーカーなど、股より下の長い丈のトップスやアウターのすそ(A)や、ズボンのすそなどにたれ下がったひも(A、C)は認められません。
この他、年齢やひもの場所に応じて長さの基準などが決められています。
規格の制定後、店頭販売などでは危ないひものついた服は少なくなりました。しかしJIS規格は任意の規格であり、メーカーなどへの強制力はなく、またネットフリマなどの流行で規格外の製品が販売される可能性はあります。
そこでまずはママたちに知っておいてほしい、子供服の具体的な事故事例をお伝えします。