2個胚移植でつかんだ新しい命
EMMA・ERA・ALICEの検査と、子宮内フローラを意識する生活を経て挑んだ2回目の移植。残念ながら妊娠にはいたらなかったものの、まだ凍結胚は2つあるということが私の心の支えにもなっていました。
翌月、休まずに次の移植に挑戦することに。このとき、私はもう一度、先生に提案をしました。それは、「残りの凍結胚2個を、一度に移植したい」というもの。いわゆる「2個胚移植」です。
2個胚移植では多胎児の可能性も高まるため、適用には条件があります。私の場合は、「35歳以上」「2回以上連続して胚移植が不成功」の条件に当てはまるため、「多胎のリスクも理解したうえで希望するなら」と、先生も慎重に説明してくれました。

2個胚移植のときの大切な受精卵2つ。
私自身もたくさん調べて、「多胎妊娠になれば母体の負担が大きいこと」「赤ちゃんにも発育不全や早産などのリスクがあること」を知ったうえで、最終的に2個胚移植を決断。そして結果的に、この3回目の移植で、第1子となる長男を授かることができました。

無事に長男を出産しました。
「わからない」の言葉に糸が切れて
2個胚移植にすれば、もう保存してある凍結胚はすべて使い切ることになります。多胎妊娠のリスクとともに、「結果がでなければ、採卵からやり直しになる」という不安。さらに、「1つずつ移植していけば、もしかしたらきょうだいもできるかもしれない」という可能性を捨てる決断でもあります。葛藤は大きなものでした。
2個胚移植には、夫婦の「承諾書」が必要です。夫に相談したときのことは、今でもよく覚えています。
「今回、2個戻そうと思っていて、先生はリスクも理解した上でなら挑戦してみてもいいと思う、と言ってくれている。あなたはどう思う?」
私は、そう切り出しました。
「今まで通り1個ずつを戻すなら、まだもう1回移植できるチャンスが残るけど…」そう続けると、夫は少し考えてから、「僕は先生じゃないから、ちょっとわかんないや」とつぶやいたのです。
その瞬間、胸の奥でカチッと何かが音を立てました。
――じゃあ、私は先生なの?
毎回、どの卵巣刺激法にするか、どの薬を使うか、その場で選択を迫られ、決断してきた。でも私だって専門家じゃないし、悩みながらも、精一杯調べて、考えて、ベストと思われる選択をしてきたのに!
今思えば、直接先生から話を聞いている私と、私から説明を受けている夫では理解の度合いが違うのも当然。夫の言葉は、「私が決めたことで走っていいよ」と背中を押す意味だったんだと思います。でも、当時の私は夫にも同じ熱量で向き合ってほしいと思っていたから、怒りに火がついてしまったんですよね。治療による精神的な波もあって、普段の私だったら受け流せることも受け流せなかった、という面もあったと思います。
夫は、今でもときどき「あのときは本当に怖かった」って思い出すみたい。私も「あのときことは本当に一生忘れない」って答えますけれど(笑)。
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