瀬奈さん:人それぞれ状況や考え方はちがうので、何ともいえませんが、実際に私がやめたきっかけは、不妊治療を続けてきた友人の妊娠の知らせを聞いたことです。
そのときは心からおめでとうと言えたけど、このまま治療を続けていたら、たいせつな人の幸せを喜べなくなるかもしれないと思い、そうなる前にやめようと決めました。
やめどきはむずかしいけれど、身も心も、経済的にも限界に達する前に決断されたほうがいいような気がします。
私は正直、養子を迎えた今でも、あのときもう少し治療を頑張ればよかったかなと思うことがあります。多分、この気持ちは一生消えないでしょう。でも確実に言えるのは、どの道を選んでも、最後には絶対に幸せになれるということです。
千田さん:A美さんはなんとなくここまでという期限は決めているのですか?
A美さん:治療を始めたときは40歳までと思っていました。
40代になると妊娠率も下がると聞いたので。今39歳ですが、コロナ禍で治療内容や日程も制限されてしまい、精神的にも追い詰められてきました。もう今年いっぱいでやめようかと悩み中です。
千田さん:パートナーはなんと?
A美さん:夫も無理して治療を続けることには反対です。夫はもともと結婚も子どももあきらめていた人で、治療も私がやりたければやっていいよというスタンス。私に決定権があるので、責任重大ですが、私の意思を尊重してくれることには感謝しています。
瀬奈さん:やさしいかたですね。
「特別養子縁組」を頭の片隅に置けばラクになる
ナナさん:うちの夫はとにかく子ども好きで、この先治療を続けても妊娠しなかったら、特別養子縁組を考えようかと思うこともあります。
ただ、千田さんのように保育の資格を持っているわけではなく、本当に大丈夫なのか不安です。
千田さん:僕が持っているチャイルドマインダーというのはベビーシッターができる資格で、保育士のような国家資格ではありません。授業で習った特別養子縁組の情報を知っていただけで、いざ養子を迎えて子育てをしたら、思いどおりにならないことばかりで、試行錯誤の連続です。
ふたりで子どもを育てたいという気持ちがあれば、資格は関係ないですよ。
ナナさん:日本ではまだ特別養子縁組の認知度は低いですよね。実は夫の母親が養子で、それを今も気にしているようで、抵抗があるのかもしれません。息子さんを受け入れると決めたとき、おふたりの周囲の反応はどうでしたか。




