「貧血」に悩む女性は多いのではないでしょうか?なぜ女性に多く見られるのか、妊娠をめざす場合にどんなリスクが考えられるのか、気をつけたいことなどまとめました。
監修・執筆
みぞぐちクリニック
溝口徹 院長

福島県立医科大学卒業。横浜市立大学医学部付属病院、国立循環器病センター勤務を経て、2003年に日本初となる栄養療法専門クリニック新宿溝口クリニック(現:みぞぐちクリニック)を開設。
そもそも貧血とはどのような状態をいうのでしょうか?
医学的には貧血は赤血球数やヘモグロビン値などが基準値を下回った時に診断されます。これらの項目は体内の鉄が不足してくると低下するため、基準値よりも低値になったときに鉄欠乏性貧血(てつけつぼうせいひんけつ)と診断されることになります。
一方では、「めまい」や「立ちくらみ」などの症状を貧血と表現されることがあります。これらの貧血症状を自覚していても医学的には鉄欠乏性貧血と診断されないことも多くあります。
なぜ女性が貧血になりやすいの?
女性は身長が伸びる時期に2次成長を迎え初潮を迎えることになります。この時期には多くの栄養素が必要ですが、とくに鉄は体の成長とともに月経血によって喪失する量を補う必要があり、それにともない全体的に鉄が不足しやすくなります。
体内に取り込まれた鉄は積極的に排泄することはありません。つまり男性は鉄を失うことが少なく貧血にはなりにくく、月経を迎えたあとの女性は毎月月経による出血によって鉄を失ってしまうのです。

では、失われてしまった鉄を補充するにはどうしたらいいのか。鉄は食材から摂取する必要があります。鉄を多く含む食材としてほうれん草などが知られていますが、吸収効率を考えると動物性食材から摂取することが大切です。肉類の摂取が少ないと月経のある女性は鉄不足になりやすいです。
貧血による症状でとくに注意したいのはどんなことですか?
めまい、立ちくらみ、手足の冷え、頭痛などは貧血に伴う症状としてよく知られていますが、鉄は赤血球だけでなく皮膚、粘膜、爪、血管などにも多く含まれているため、これらの組織のトラブルが鉄不足によって生じます。例えば二枚爪などは鉄不足による爪のトラブルとしてよく知られています。
坂道や階段などでの息切れや動機などは、鉄不足による貧血症状として注意が必要な症状ということができるでしょう。
貧血だと妊娠しにくいのでしょうか?不妊の原因になるの?
鉄不足は不妊の原因になることが知られています。例えば、鉄が関係するヘモグロビン値が高い女性は妊娠に関わる子宮内膜がより厚いことが分かっています(*)。
ただし、不妊の原因は多岐にわたるため鉄不足が改善しても妊娠に至らないことは多くあります。
また、検査データからは貯蔵鉄量を反映するフェリチンという検査項目で 30µg/L以下は原因不明の不妊と関係していることが指摘されています(*)。ところが、それ以外の項目のヘモグロビンや赤血球数では基準範囲内であることが多くあります。
つまり一般的な検査(血液検査)で貧血と指摘されない場合でも、フェリチンの値が低下していると不妊リスクのひとつになりえると考えられています。
*参考:Frontiers in endocrinology. 2023;14;1173100
妊娠と貧血【後編】へつづく>>妊娠初期ってなんで貧血になりやすい?妊娠前からできることはあるの?(近日公開)
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