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「赤ちゃんって自分で鼻をかめないの?」静かで逆流しにくい鼻吸い器を作れ!〈ソットトッテ〉開発ストーリー

「赤ちゃんって自分で鼻をかめないの?」静かで逆流しにくい鼻吸い器を作れ!〈ソットトッテ〉開発ストーリー

赤ちゃんの鼻づまり問題を解決してくれる「Sotto Totte (ソットトッテ)」の開発を担当した丹平製薬の研究開発部、赤嶺彰俊さん。

新しい商品を生み出すだけでなく、商品の仕様やパッケージデザインを考えるなどプロデューサーとしての役割を担っています。今回は、同社初となる医療機器の開発ストーリーをお届けします。

アートと都市計画の世界から、ベビー用品の開発へ


編集部(以下・編):赤嶺さんは、異業種から丹平製薬に転職されたとのこと。これまでのご経歴を教えてください。

赤嶺さん(以下・赤):芸大で環境デザインを学んだ流れで、卒業後は建設コンサルタントとして都市計画に携わっていました。

そこからガラッと変わって京都の美術印刷の会社で、ミュージアムショップの運営や企画の担当に。そこで販売するポストカードやクリアファイルなどのグッズを作っていました。

編:アート関係のお仕事をされていたのですね!

赤:はい、なので今でも趣味は美術館巡りです。特に日本美術が好きで、最近は大阪中之島美術館で開催されていた「日本美術の鉱脈展」に出かけました。

一人で鑑賞することもありますが、このときは小学6年生の娘と一緒に出かけました。子どもはもう一人、中学3年生の娘もいます。

アートの仕事から、なぜ丹平製薬へ?きっかけは…「赤ちゃんって鼻をかめないの?」という衝撃から


編:アートの業界から丹平製薬への転職は、一見結びつかないように思いますが、一体どのようなきっかけがあったのでしょう?

赤:前職のときに上の子どもが生まれたのですが、恥ずかしながら、この頃の私は、赤ちゃんが自分で鼻をかめないことも知らなくて…。

そんなとき、家に置いてあった丹平製薬の「ママ鼻水トッテ」を見て、親が自分の口でチューブ内に鼻水を吸引するという仕様に衝撃を受けたんです。こんな発想ができるって、アイデアがすごい!って。

それから、製造元である丹平製薬のことをネットで調べて採用情報をチェックし、商品開発の求人を見つけたので応募しました。もちろん面接では「ママ鼻水トッテ」のエピソードを伝えました。

開発だけじゃない。商品名やパッケージにも関わる仕事


編:商品に感動して入社されるのは珍しいですよね。入社後はどんなお仕事から始められたのでしょう?

赤:入社してからずっと商品開発を担当しています。最初は赤ちゃん用の洗口液を、その後、入社3年目に提案した「キズカイン※」の処方とネーミングも担当しました。(※殺菌+かゆみ止め効果のある軟膏)

編:処方だけじゃなく、名前まで?

赤:はい。今は商品開発課で、処方だけでなくコンセプトづくり、仕様やパッケージデザイン、原価やスケジュール管理まで、商品が形になるまでの全体を担当しています。

口で吸うから、電動へ。「できるのかな」から始まった試行錯誤


編:「ソットトッテ」は、発売以来人気とのこと。どんなきっかけで生まれた商品なのでしょう。

赤:元となる「ママ鼻水トッテ」が手動の商品ですので、将来的な観点から電動で作るのはどうかと考えたんです。

最初はモーターを付けて口でも吸えるし、電動でも使えるというキットを販売するアイデアがありました。

そこで周りの人にも協力してもらいヒアリングを進めていきましたが、まだ現実的でない部分があり「できるのかな?」と半信半疑でした。

編:手動から電動に仕様を変えるというのは大変な道のりだったんですね。

赤:そうなんです。普段から開発している医薬品や化粧品とは違って、医療機器となると最初はわからないことばかりで。

いろんな人に手あたり次第に相談しました。そもそも、売れるかどうかも想定できなかったので不安はありましたね。

目指したのは、赤ちゃんを起こさない鼻水吸引器。鼻水が逆流しない「弁」にもこだわりが


赤:電動鼻すい器の市場調査をしたときに、音がうるさいのがネックになっているユーザーの方が多かったので、静かに使えるものにしようと考え、使用するポンプだけは早めの段階で決めていました。

編:特に大変だった部分はありますか?


赤:試行錯誤を重ねたのは弁の部分ですね。何回やっても鼻水がチューブのほうに流れてしまうので、どうすれば逆流しないようにできるのかと、3Dプリンターで100個以上は試作しました。

チューブのほうに鼻水が出てしまうと洗浄がしにくく、乾きにくくなってしまうからです。

お母さん目線と赤ちゃん目線。両方を大事にしたかった

編:ユーザー目線というのが大きなポイントですね!

赤:このジャンルの商品としては後発品となるので、「赤ちゃん目線」と「お母さん、お父さん目線」で考えながら、よりいいものを目指しました。

例えば先ほどの「静音」という特長は、赤ちゃんを起こさないという親側のメリットと、赤ちゃん自身がびっくりしないという2つの視点で考えています。

需要を知るために、毎週赤ちゃんのいる友人宅に行って、どういう風に鼻水を吸っているかを見せてもらうなんてこともしていました。

リビングにオシャレになじむ医療機器を


編:機能性も充実していますが、デザインもオシャレですよね。

赤:ありがとうございます。色は最初グレーで、取っ手のところはクリーム色だったんですが最終的には清潔感のある白にしてよかったと思っています。

デザイン性にこだわりたかったので、インテリアに合うようとことんシンプルにしました。収納のしやすさを検討しながら、デザイナーに形にしてもらいました。

対面で会えない開発現場。それでも止まらなかった熱量

編:商品が形になるまで特に大変だったことはありますか?

赤:開発途中の、弁の問題に取り組んでいる頃にコロナ禍になってしまって。デザイナーと会えなくなり、技術の人とも直接話せなくなったんです。

個々で考えて、個別に電話してやりとりする状況でした。大変ではありましたが、関わってくれたみなさんが熱量のある方々で、会えなくてもなんとかできたことはよかったです。

「誰かの初めてに寄り添えるものを」。開発者としての想い


編:最後に。丹平製薬には、歯痛に作用する「新今治水」の初代製品は明治31年に誕生しているなど歴史のある商品が多いかと思いますが、今後新しく開発する商品について、赤嶺さんの思いを教えてください。

赤:これからも、お客様や世の中の役に立てる、長く愛されるような商品つくりしていきたいです。

ベビーが対象の商品で言うと、育児って初めての経験ばかりじゃないですか。私自身がそうでしたが、そのときに初めて知って、いいものかどうなのかを考えることになる。

そういうときに寄り添えたらという気持ちが、まずあります。その他の製品でも同じく、誰かの初めてをサポートできるといいなと。

その商品を使うことでできることが増えたり、気持ちがラクになったりするように、これからも商品の向こう側を意識しながら開発を続けたいと思います。

撮影/大林博之 文/シキタリエ

Baby-mo〈ベビモ〉編集部

Baby-mo(べビモ)は、主婦の友社が運営する妊娠・出産・育児の情報メディアです。〈読むだけでなく、試せる・参加できる・つながれる〉2026年度は商品モニターやベビーシャワーイベント、親子旅イベント、GOODS AWARDなど、読者のみなさんと一緒につくる企画も続々。お楽しみに!

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