体験談

「本当はキャリアより治療を優先したかった」早発閉経と向き合った4年間の葛藤|気象予報士・千種ゆり子さん【中編】

千種ゆり子さん

卵巣摘出手術でわかった、衝撃の事実

「治療は思うようには進みませんでした。注射で強い刺激をしても、女性ホルモンの一種エストラジオール(E2)の値が上がってこない。卵胞が育たず、採卵にまで至らない周期が続きました」

そこで、最後の望みをかけて選択したのが、卵巣の摘出手術でした。

「卵巣を摘出し、卵子の元となる原始卵胞を採取する方法です。原始卵胞があれば、その組織を培養する治療法、原始卵胞体外活性化法(IVA)で卵子を得られる可能性もありました」

しかし、調べた細胞片には、原始卵胞がひとつもなかったのです。

「大きなショックを受ける一方で、やっぱり…という思いもありました。

誘発を繰り返しても、全然採卵できなくて。でも、治療はすべて自費診療だから高額で。採卵できないままお金ばかりが消えていくのは嫌だから、早くはっきりさせたいという思いで踏み切った手術でもありました。自分でも薄々、もう原始卵胞が残っていないかもしれないことを感じていたのかもしれません」

30歳目前に下した治療の幕引きと、後悔

手術の結果を受け、千種さんは卵子凍結にむけた治療を終えることを決断しました。

「結果が出ないことにお金や労力を使うより、社会のためになることに自分の力を向けたほうがいい。そう思って、30歳を目前に、治療に区切りをつけました。

もっと早く卵子凍結に踏み出せていたら、結果は違っていたかもしれない、という後悔は今でも残っています。資格の勉強をしていた頃に分かっていたら、気象キャスターとしてのキャリアよりも治療を優先していたのではないかと思います。遠方のテレビ局のオーディションは受けず、東京で通院しながらできる仕事を選んでいたかもしれません」

20代の千種さんにとって、気象キャスターという夢を追いかけ、実現してきた日々は、やりがいに満ちたものでした。一方で、自分の体の状態について十分な情報を持っていたら、人生設計の選択肢は少し違っていたかもしれない――そう静かに振り返ります。

治療に区切りをつけた千種さんの言葉には、同じ後悔を繰り返してほしくない、という若い世代への強いメッセージが込められています。

「生理不順で通院していたとき、治療を医師任せにせず、自分でも調べたり、質問したりしていれば、もっと早く原因にたどり着いたかもしれません。

10代、20代は、自分のことに一生懸命で、まだ将来の結婚や妊娠について具体的に考えられない人のほうが多いでしょう。でも、子どもを望むなら、10代、20代から準備やケアをしておいたほうがいいケースもある。そのことを伝えていきたいと思っています」

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